入札制度を改革して談合を追放しよう | ||||||
私たちは今大会で、全国の都道府県および主要都市が発注した公共工事の入札調書にもとづき、落札率の分布および平均落札率を検証し、各自治体の入札契約制度の抱える問題点を究明した。その結果、問題は極めて鮮明になった。 一般競争入札を大幅に導入した自治体では、入札参加者の間で競争が確保された結果、落札率が予定価格の80%台に下がっているのに対し、指名競争入札制度を墨守している自治体の落札率は限りなく100%に近い。残念ながら、多くの自治体はいまだに後者に属している。 公共工事の落札率が仮に10%下がれば、支出は国と地方をあわせて年間約2兆円節約されるという関係にある。そして、会計法、地方自治法の規定の上では、一般競争入札が原則であり、指名競争入札は極めて例外的に許可されるものである。 それにもかかわらず、わが国の実情では、過去も現在もこの原則と例外が全く逆転している。 その上、入札参加者の範囲を、行政区や土木事務所の管轄区域に事実上限定する運用がなされてきた。このように法の原則を無視した入札制度こそが談合の温床となり、税金の無駄づかいを支えてきたのである。 入札制度改革に抵抗する側の代表的な意見は、「落札率が低下することは工事の品質の低下を招く」、というものであった。しかし、落札率と工事の検査成績との間に相関関係が存在しないことは、改革後2年余の歴史をふまえた宮城県の調査によって明らかになっている。 また、「中小建設企業を保護する」という政策目的は、工事の分割発注や入札参加資格の上限設定などによって実現することができるものであって、指名制や地域要件の撤廃と矛盾するものではない。 指名制と地域要件を原則として撤廃することによって、談合を追放し、巨額な公金の無駄づかいを防止することは、今やすべての発注機関がただちに実行すべき法的義務であると言うことができる。 我々は、中央、地方の公共事業発注機関が掲げている「入札制度改革」の旗印を真に実効あるものとするために、以下の措置がただちに取られるよう提言する。 |
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以上 | ||||||
2003年8月31日 第10回全国市民オンブズマン大会 in 仙台 参 加 者 一 同 |