包括外部監査を意義あるものに
2001.8.5
全国市民オンブズマン連絡会議
第8回京都大会参加者一同
 1999年度に本格的にスタートした包括外部監査は、2年目を迎えた2000年には任意に条例を制定した都市(及び特別区)を加え、全都道府県、政令指定都市、中核市を含む91自治体で実施された。この包括外部監査は、外部の監査人が、独立した視点から自治体の行財政の適法性、有効性、効率性、経済性の点検をし、その結果、行財政の改善措置の必要があればその指摘をし、さらに自由な意見を述べる制度である。
 私たち全国市民オンブズマン連絡会議は、行財政の現状追認傾向が強いと批判される監査委員監査(内部監査)に対し、この包括外部監査が屋上屋となることなく真に活かされるためには、市民自身がこの包括外部監査を良く知る必要があると考え、全国の市民オンブズの協力の下、全自治体の監査報告書を入手・点検してその評価をし、監査報告書に対する"通信簿"を作成することにより、今後一層の内容向上を求めることとし、昨年と今年、公表した。
 その結果、優れた監査報告がある一方で、莫大な監査費用をかけた成果物として市民が承服できない低水準の報告書があることも知った。また、監査を受けた自治体がこれら外部監査に対してとる対応に大きな格差のあることを知った。包括外部監査を意義あるものにしていくためには、外部監査人、自治体当局、そして私たち市民にも、まだ大きな課題が残されている。

 外部監査人には、次のことを求める。
1. 外部監査人は、自治体当局と緊張関係を保ち、行政行為の適法性や有効性、効率性、経済性に的確にメスを入れ、改善措置を具体的に指摘すること。
2. 問題点をあいまいにすることなく、明白な誤りは意見部分ではなく監査結果として、責任を持って指摘すること。
3. 監査の概要、結果、意見等は、行政、議会はもちろん、市民に対してもわかりやすくその過程も含めて監査報告書で公表すること。
4. 今後も監査人として研錆・向上に努め、他の自治体の監査報告書や先行する自治体の施策を研究し、広く市民の批判にも耳を傾け、自らの監査に生かすこと。

 自治体当局には、次のことを求める。
1. 指摘された事項については、監査結果のみならず意見についても真摯に受け止め、的確な対応を行うとともに、その措置をすみやかに具体的に公表すること。
2. 他の自治体の監査報告書についても、すぐれたものは積極的に取り入れ施策に生かすこと。

 同時に私たち自身も、外部監査の結果を研究し、自治体の的確な措置を要求していくとともに、監査人に対しても批判すべき点は批判し、この制度の成果を向上させる努力が必要である。

 以上、決議する。