外務省報償費 情報公開訴訟第8回口頭弁論・傍聴記
 上記第8回口頭弁論は11月25日(月曜日)10時30分より606号法廷で行われました。
出席者は
原告側、高橋、谷合、土橋、関口の4弁護士
被告側、野下法務省訟務課付以下外務省等関係者8名、この他傍聴席に若干名

 裁判官より、被告側より10月31日付で提出された釈明書および原告側より11月19日付で提出された準備書面(4)について記載どうりの陳述が確認された。
 この後、原告側より発言を求め、「事実関係の認否を求めたい。原告側準備書面(3)、準備書面(4)の第5で主張した事実について認否・反論としてやって頂くよう裁判所からも指示をお願いしたい。被告側は今回まで抽象的な事ばかりで、原告側としてもこれ以上のことは言えない」と発言。
 これに対し、裁判官より被告側に対し「何故これ以上開示できないのだという事について、これ以上明らかにすると不利益が生じる事を、こういう事が開示されればこういう事が明らかになり、その結果こういう事になってこういう事まで明らかになるといった、云ってみればシュミレーション的なものというか、そういうものを示してもらわないと、国の不利益になる事がよくわからない。荒唐無稽な事なのか良くわからない。もっと具体的な形で示してもらわないと次元の違うところで食い違ってしまう。例えばということで本件の対象である情報自体でなく、あるケースとして、公開した場合に生じる支障を具体的に説明してほしい」と指示。
 原告側より「裁判官の努力はよく判るが今の段階ではとても具体的なものを期待しがたい。認否・反論と具体例という事でお願いしたい。又、5条3号の解釈について鑑定証人の申請を検討したい」と発言。
 被告側より「不開示情報の判断の為に具体例を出すと考えてよいですか」と確認。
 裁判官より「何故ここまでの特定で、これ以上特定すると国の秘密が開示されて、こういう支障が生じるということを示してほしい。本件の不開示はいくつかのプロセスを経て最終的に支障が生じるので開示出来ないという事だが、そうである場合もあるし、そうでない場合もある。したがって開示できない理由が良くわからない。例えば印影の公開による支障等の主張であれば裁判所も支障の有無を判断できるが、本件の被告の主張は直接判断できる内容になっていない。現在は、専ら抽象的な言葉で述べられているだけである」と再度指示。
 原告側より「被告側は今回の対象を外務省で作成した基準に基ずいて審査しているのだから、当然、その基準への当てはめを明らかに出来るはずだ。この当てはめを明らかにしてほしい。又、本省と在外公館ではそれが異なるはずだが、これを一緒くた、ゴチャマゼにしているのはどう考えてもおかしい。今回の提出の仕方について再度裁判官より審査基準への当てはめを明らかにするよう指示して頂きたい」と要望。
 裁判官より「それについては、先程の要求にたいする被告側の提出内容を見た上で考えたい。ひとつひとつステップを踏んで見ていって判断したい」と結論。
 次回は1月30日(月曜日)11時30分、606号法廷


コメント

 裁判所としては、公開した場合の支障について、支障が生じる場合もあるし、生じない場合もある筈で、被告側準備書面(5)の抽象的な説明だけでは、1069件全てに支障が生ずるとすることについて具体的な認識が持てないのでないだろうか。
 ただ、厳密に云えば、1069件が夫々の特性を持つているわけで、幾つのパターンを示せば全件について公開すれば支障が生じると判断する事が出来るのか、はなはだ疑問である。
 結局は、被告側に都合のいい、数例のパターンが示されて終わるように思える。
 仮に、被告側が良心的に相当数の件数をカバーするパターンを提示したとしても、その後1069件のパターンへの当てはめを行わないと意味がないのではなかろうか。

以上