平成13年(行ウ)第150号 行政文書不開示処分取消求事件
原  告  特定非営利活動法人 情報公開市民センター
被  告  外 務 大 臣

準備書面(12)
平成16年8月25日
東京地方裁判所民事2部A2係 御中

被告指定代埋人
間   史 恵
友 利 英 昭
吉 田 尚 弘
山 本 美 雪
高 林 正 浩
上 月 豊 久
相 沢 英 明
西 海 茂 洋
佐 野 豪 俊
岡 島 洋 之
片 山 太 一

 被告は、本準備書面において、平成16年6月30日付原告準備書面(8)(以下「原告準備書面(8)」という。)における原告の主張に対し、必要な限度で反論する。
 なお、略語については従前の例による。
第1 在フランス大使館における大使着任レセプションについて
原告の主張
 原告は、在フランス大使館の「大使着任レセプション」(以下「本件レセプション」という。)に係る支出決裁文書(通番734)について、支払決議書で決裁されている金額と「領収書」との金額が合わない、また、20枚あるとされている「証拠書」が実質2枚しか開示されておらず、不開示の対象にもされていない文書がまだ存在すると主張している(原告準備書面(8)6ページ)。
被告の反論
 しかし、以下に述べるとおり、原告の主張は誤解に基づくものである。
(1)  本件レセプションに係る支出決裁文書は、甲第48号証であるところ、その内訳をみると、支払年月日、使用目的、支払額等の記載がある用紙(原告はこれを「支払決議書」と記述しているが、これは誤りである。)が甲第48号証の1枚目と5枚目にあり、それぞれに領収書等の証拠書類が添付されている。この他に、末尾に設宴決裁書も存在する。
(ア)  甲第48号証の1枚目の支払年月日等の記載がある用紙には、84,201.59FFの報償費の支払が記録されているが、これに係る証拠書(証拠書類を意味する。甲第48号証1枚目にいう証拠書は領収書である。)は、同1枚目の右側に記載されているとおり、合計で20枚ある。そして、領収書は、1枚の用紙に複数貼付されており、甲第48号証では、合計8枚の用紙に分けて貼付されている。すなわち、甲第48号証の2枚目に示した不開示部分4頁、3枚目で開示した1頁、4枚目に示した不開示部分3頁の合計8頁分が、上記領収書を貼付した8枚の用紙に相当する部分であり、2枚目で示した不開示部分4頁に合計16枚の領収書が、4枚目で示した不開示部分3頁に合計3枚の領収書がそれぞれ貼付されており、これら合計19枚と開示した領収書1枚の合計20枚が、甲48号証1枚目に記載された領収書20枚に該当するものである。
 役務提供者が作成した領収書等については、情報公開審査会の答申においても不開示が相当と判断された調達先に係る情報が、その様式から明らかになるおそれがあることから、不開示としている。
(イ)  また、甲第48号証の5枚目には、4,500.00FFの報償費の支払が記録されているが、これに係る証拠書は、同5枚目の右側に記載されているとおり、2枚あり、これが2枚の用紙に1枚ずつ貼付されている。すなわち、甲第48号証6枚目で開示している1枚と、同号証7枚目に示した不開示部分1頁に貼付されているもの1枚の合計2枚が上記証拠書2枚に該当するものである。
 上記不開示とした1枚については、上記(2)において領収書等に述べたところと同様の理由で不開示としているものである。
 さらに、原告は、甲第48号証の1枚目に記載された金額(84,201.59FF)と部分開示された領収書に記載された金額61,927FFが合致しないと指摘するが、甲第48号証の1枚目に記載された金額84,201.59FFは支払額の合計であり、上記61,927FFはそのうちの一部にすぎないから、合致しないのは当然である。
(2)  以上のとおり、被告としては、飽くまで情報公開審査会の答申の内容を踏まえて部分開示を行っており、本件レセプションに係る支出決裁文書について、開示も説明もしていない文書が10枚以上あるとの原告の主張は誤解に基づくもので失当である。
第2 情報公開審査会の答申について
 原告は、「五類型」については、会計検査院が報償費からの支出は相当でないとし、この指摘を同審査会の答申が踏襲したにすぎない旨主張する(原告準備書面(8)2ページ)。
 しかし、情報公開審査会の答申は、いわゆる「五類型」に属する支出について、これらが報償費から支出されることの当否について判断したものではない。答申の目的と合計検査院の検査の目的とは同じではないのであるから、上記原告の主張は、その前提を誤っており、失当である。
第3 検証について
 原告は、裁判所が検証手続で当該文書を直接見分した上で判断すべきである旨主張する(原告準備書面(8)14ないし16ページ)。
 上記原告の主張に対する被告の反論は、被告の平成16年7月7日付意見書において述べたとおりである。
第4 本件不開示決定の一部変更について
 被告は、平成16年4月20日付けで、本件不開示決定を一部変更したが(被告準備書面(11)2ページ、乙第18号証の1ないし5)、その際の行政文書開示決定等通知書(情報公開第01689号。乙第18号証の1)の不開示理由を記載した別紙に一部誤りがあった。この誤りについては、平成16年5月14日付けで訂正し、原告に対し、同日付けの外務大臣官房総務課情報公開室長名の文書(第19号証の1)及び同別紙の訂正版(乙第19号証の2)を送付して通知した。被告が開示した文書は、訂正後の内容に沿って開示しているものである。