2006年10月12日 情報公開市民センター |
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東京高裁の第2回口頭弁論は9月26日に開かれた。 1.外務省の説明 外務省は、第1回口頭弁論で裁判長から、「1件ずつについての不開示該当性の具体的主張を行うかどうするかの主張立証方針を明確にせよ」との指示があったにかかわらず、主張立証方針の書面を提出しなかった。かわりに口頭による次の説明を行った。 (1)会合経費のうち50件は外国政府職員との会合ではない 950件の会合の経費のうち50件は相手国政府職員や協力者等と直接に接触した会合ではなく間接接触である。市民センターが「国会議員等が在外公館を訪問した際の便宜供与の会食」と指摘しているものに該当する。これらには相手国政府職員等の人定ができる記載はないが、各件ごとに不開示事由に該当することを主張立証する予定である。 (2)その他の900件の会合経費について 会合の経費のうち50件以外の約900件は相手国政府の職員等との会合に関するものである。そのうち50件について個別に不開示事由に該当することを主張立証する。それ以上の個別の主張立証については、市民センターの要求、裁判所の指示があれば検討する。 (3)過去の外務省不祥事について 外務省不祥事に関して、センターの主張は本件訴訟とは関係するものでないことを主張する。 2.市民センターの批判 これに対して市民センター(高橋、土橋、羽倉、谷合弁護士)は (1)外務省が前回口頭弁論で3か月もの期間を求めながら、個別の不開示理由の主張立証を1件も行わないばかりか、主張立証方針も口頭でしか行わないことを批判した。 (2)外務省がこれから行うとする主張立証は一審で裁判長から毎回のように求められていたものであり、主張立証の時期に遅れていることを指摘した。 (3)不開示事由の該当性の主張立証はすべての支出についてなすべきであると指摘した。 3.次回期日 裁判長は外務省の主張立証を待つことにした。 次回の口頭弁論は2007年1月30日(火)15時と決定された。 4.コメント (1)外務省は便宜供与の飲食への報償費支出を認めた 外務省はこれまで国会議員への飲食を伴う便宜供与についてその存在、支出を一切明らかにしないで来たが、センターの追及により初めて報償費の中にこれに該当する支出があることを認めた。 (2)便宜供与の飲食供応には機密を要する不開示事由はない 外務省は「間接接触」の会合に不開示事由該当性があることをこれから主張するとしているが、国会議員への便宜供与が機密性の高い外交活動である訳がない。情報公開審査会の審査過程で、外務省は便宜供与の飲食は私的な日程であり議員の渡航目的とは関係なく、大使館側の都合により行うものであると説明したものである。答申で不開示事由はないと明快に判断されている。 (3)「50件の間接接触分以外はすべて直接接触で不開示事由あり」は信用できない 外務省は、報償費はすべて機密性の高い外交活動に使われていると主張していたが、5類型の支出について偽りが明らかになった。今回センターの追及によって国会議員の便宜供与の会食に報償費を支出していることが明らかになった。50件以外はすべて不開示事由該当であるとの主張をしても信用できるものではない。 (4)50件の尻尾きりでの幕引きは認められない 裁判にインカメラがないのを良いことに、50件以外のすべては直接接触で機密性の高い外交活動であるとして、真実を覆い隠そうとすることは認められない。国会議員への便宜供与の飲食供応のうち、審査会答申によって準公的性格を持つ大使・公使等が主催する行事として、開示を指示された類の会食は50件かもしれないが、訪問した国会議員等への接待供応は、準公的な会食だけの訳はなく、報償費で行ったさらなる接待供応が相当数あるはずである。 |
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(鈴木祥宣 記) |