外務省報償費情報公開訴訟第18回口頭弁論・傍聴記
 報償費不開示取消訴訟の第18回口頭弁論は、2004年10月25日午前11時30分から第606号法廷で行われた。
  原告側:高橋、羽倉、清水、谷合の4弁護士
  被告側:法務省、外務省情報公開室など9人
  傍聴者:センター相談員など

被告の提出書面と陳述
 被告は、10月25日付で提出した意見書について、書面どおり供述することを確認した。この内容は、原告の9月1日付のインカメラ検証を求める意見書に反論したものである。

インカメラ審理について
 裁判長の原告への、インカメラ導入について主張を尽くしたかとの質問に対して、原告は「基本的には述べたが時間があればさらに述べることがある」と回答した。
 裁判長は「インカメラの導入は初めてなので、時間をかけて慎重に検討したい。原告はさらに意見があれば11月半ばまでに出すように。次回に裁判所としての結論を出したい。」とした。

次回期日
 次回期日は12月22日(水)11時30分 606号法廷と決定された。

コメント
 裁判所は不開示の該当性についての判断をするための前段として必要な、ボーンインデクスの提出を再三指示したが、被告は提出しないままになっている。審理が提訴以来長引いており、いよいよ裁判長はインカメラの採否について次回期日に結論を出すことにした。
 被告は「裁判所は情報公開審査会がインカメラを行って出した答申を尊重せよ」とするが、不開示処分に対する国民の救済として、審査会と訴訟の二つが認められているのが有名無実になってしまう。
 審査会答申は「いわゆる5類型以外の文書には情報収集活動等の『支障をきたすおそれ』のある情報が容易に区分し難い状態で随所に記載されている」とするが、支出文書には被告が挙げた記載項目(外形的事実)の内容が記載されているのである。支出文書とはそういう文書であり、センターがこれまで請求した交際費・諸謝金・渡切費など各種の支出文書は部分開示であり、不開示部分を区分して開示を受けている。被告は報償費に限っては情報の独立一体性論を主張するが一貫性がない。
 被告の当初からの「報償費はすべて情報収集・外交工作の支出である」との主張が崩壊した以上、「5類型以外はすべて情報収集・外交工作の支出である」との主張は信用できるものではない。報償費には、情報収集・外交工作に該当しない支出、たとえば議員への便宜供与、裏金プール金などの支出が存在するのは明らかである。これらは不開示に該当せず、また情報収集活動等の支出についても不開示に該当しない部分が存在するものである。
 裁判所は、近く提出する予定の追加意見書も含めた原告側の主張を汲み取り、自らインカメラ検証によって不開示に相当の理由があるかどうかを判断して頂きたい。
(鈴木祥宣記)