【 大会宣言 】
監査制度を市民の手に取りもどそう
1.
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今大会は、全国各地から470名の市民オンブズマンが、ここ宇都宮に集まり、「こっち向いてよ監査委員さん」の大会テーマを中心として、2日間にわたり熱心な討議と意見交換を行いました。
市民があらためて「こっち向いてよ」という声をあげなければならないほど、現在の監査委員制度は市民に背を向け、独立性を喪失し、本来の任務を放棄しています。 |
2.
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そのことは、今大会で発表された「議会に対する監査の状況」からも明らかになりました。議会に対して監査を行う場合には、政務調査費も対象に含め、それが「議員の調査・研究に必要な経費」としての本来の目的に即して使われているかどうかをチェックするのが当然です。
しかし、監査委員の職権によるチェックが、政務調査費の支出内容に及んだ例は1つもありませんでした。 |
3.
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一方市民自身が政務調査費の使途の不当性を追求する監査請求をしようと思っても、情報非公開の厚い壁がそびえ立っています。
今大会で発表された「政務調査費の透明度調査」の結果によれば、収支報告書に領収書の添付を義務づけている自治体は、都道府県、政令市の中には1つもありませんでした。都道府県、政令市の議員や会派に交付される政務調査費は約170億円の巨額にのぼるのに、市民がその支出の当否をチェックして、監査請求をする手がかりは奪われているのです。 |
4.
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私たちは、法改正を含む監査委員制度の改革を追求しつつ、公費の支出に関わる情報の徹底的公開を追求します。監査請求制度と情報公開制度を使いこなす市民の力量が高まれば、監査委員の姿勢を変えることが出来ることを、私たちはこれまでの経験から深く確信しています。
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5.
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私たちは95年の名古屋大会以来、談合問題と取りくみ、談合業者に対して損害賠償を請求する住民訴訟を推進してきました。そして今年7月、最高裁で、これらの住民訴訟の前提となる監査請求は申立期間の制限を受けない、という画期的判決を勝ち取りました。「1年ルールによる門前払い」のカベは取りはらわれたのです。また、談合によって自治体が蒙った損害を、裁判所が職権で査定した勝訴判決もこの間に15件獲得しました。
このような流れの変化を背景に、東京都監査委員は8月8日、大型造園工事をめぐる談合事件について東京市民オンブズマンの請求を容れ、都知事に対し4ヶ月以内に損害賠償請求をするよう勧告しました。 7年にわたる私たちの運動が、監査委員の本来の役割を果たさせるに至ったのです。 |
6.
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監査制度を市民の手に取りもどすため、新たに談合の損害賠償責任を各地で追及するプロジェクトD(=Damn
It ! Dango,くたばれ談合)の運動を展開することを決めました。この運動は全国の監査委員と首長の姿勢をテストするものとなります。
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7.
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全国市民オンブズマン連絡会議が発足した仙台の地で来年開かれる第10回全国大会へ向けて、今大会の成果を最大限に活用する決意を全員で確認しあって、この大会の宣言とします。
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