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2002年9月13日発売のFRIDAY(9月27日号)62頁以下には、『最高裁判所長官が血税で「宴会」&「手土産」』との見出しのもとに、概略、最高裁判所が、毎年約400ないし500枚のビール券や清酒券を地方の裁判所、警察庁、警視庁、マスコミ関係者、更には黒塗りされた誰かに配布されていたという記事が掲載された。そして、フライデーによれば、ビール券等の交付先とされている警察庁、警視庁、マスコミ関係者らに裏づけ取材をしたところ、一部の交付先を除き「そうした事実はない」との回答がなされたとのことである。この回答が真実だとすれば、最高裁は、ビール券等の交付をしていないのに交付したかの如く虚偽の文書を作成して裏金を捻出していた疑いが強まる。ビール券や清酒券は金銭類似の金品である以上、裁判所がこれらを他に配布したとなれば事は極めて重大である。 |
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また、同記事などによれば、最高裁判所の関係者が下記の施設等に入場していると報じているが、これら入場先はいずれも有名な観光名所ばかりであり、一般人からみて、裁判所の運営等に必要不可欠な視察先とは言い難く、視察とは無縁の観光見物ではないかと疑われてもやむをえない支出や、本来、交通費として計上すべきはずの地下鉄料金が交際費の名目で支出されていた疑いを抱かせるに足るものであった。 |
記 |
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@タイ・バンパーイン宮殿への入場料5名分585円(30バーツ×5名分)
Aタイ・国立歴史博物館への入場料5名分585円(30バーツ×5名分)
Bタイ・王宮への入場料5名分2390円(125バーツ×5名分)
Cタイ・装飾美術館への入場料5名分879円(46バーツ×5名分)
Dフィリピン・イントラムロス城壁への入場料4名分254円(4名分)
Eフィリピン・サンアウグスティン博物館への入場料6名分763円(6名)
F韓国・民族村への入場料3名分2361円(8500ウォン×3名分)
G韓国・民族村博物館への入場料3名分694円(2500ウォン×3名分)
H韓国・西大門独立公園への入場料3名分306円(1100ウォン×3名)
I韓国・南山タワーヘの入場料3名分556円(2000ウォン×3名分〉
J韓国・ソウル市内視察の際の地下鉄料金139円(1500ウォン)
K韓国・チャンドックン(昌慶宮)への入場料6名分389円(6名分〉
Q韓国・※※※※(黒塗りで判読不明)との事務打合せに要した費用5万1291円(56万6280ウォン) |
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常日頃、最高裁判所は、「裁判官は公正であることはもとより、国民から『公正らしく見える行動』が求められている」などとして、仮にも国民から公正さに疑念を抱かせる言動をしてはならないと繰り返してきたが、そうであれば、前述したビール券等の交付や観光地めぐりといった行為は、国民に裁判官の公正さと公正らしさに疑念を抱かせる行為とならないかという疑問が生じてくる。 |
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加えて、1994年、最高裁は大阪府知事の交際費をめぐる情報公開訴訟で1、2審で情報公開を命じた文書を非公開にする判断を示したり、昨年3月には大阪府知事の交際費、同年5月には京都府知事の交際費について相手方の氏名等の公開を認めた下級審の判決をいずれも取消し非公開とする判断を示したり、昨年3月には「独立した一体的な情報についての部分公開は実施機関の裁量判断であり、権利として請求することはできない」などとの判断を示し、私たちが営々として築き上げそしてまた国民世論も歓迎した情報公開の流れをことごとく逆流させる判断を示しているが、こうした最高裁の国民世論に背を向けた姿勢の背景には最高裁自身が交際費等の不正支出を私たちオンブズマンに暴かれることを怖れて事前に交際費等の情報を非公開にしておくという予防線を張り巡らすための判断ではなかったのか、という見方さえ成り立つものであった。 |
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私たちのメンバーの中には、裁判所とてビール券の数枚ごときを交付することや海外での観光名所めぐり程度のことは大目に見ていいではないかという意見もないわけではない。しかし、他方で、裁判所という組織は、なによりも「清廉さ」と「公正さ」が求められている組織であり、これが国民の司法に対する信頼を維持する大前提になっている組織である。そして、基本的人権の擁護と社会正義の実現のための「最後の砦」となるべき最高裁が、もしも国民の血税を用いてビール券等を身内らに配布したり観光めぐりをしたとしても問題はないなどとの感覚で凝り固まり、そうした裁判官や職員らが現在私たちの仲間が最高裁に上告している数々の情報公開等の上告事件を適正に裁くことなどできようはずもないことである。 |
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私たちは、平成14年9月15日、宇都宮にて全国大会を開催したが、その際、会場から「最高裁に真偽の程を質問すべきである」との緊急動議が出され、満場一致で本公開質開状を提出する旨の決議が採択された。私たちは、本来、「清簾」で「公正」であるはずの最高裁が、上記の如き疑念を抱かせる行為をするはずもないと信じたい。そしてまた、正義の砦である最高裁が爽やかな秋晴れのように私たちの疑念を晴らし、私たちの疑いが杞憂に終わることを心から願いたい。ついては「さすが最高裁だ」と国民が納得する真摯な回答を期待したい。なお、本質問の内容ならば最高裁として約1ヶ月程度の時間があれば容易に回答をなしうるものと思料することから、最高裁は、平成14年10月末日限り、下記事務局に書面にて回答されたく、本公開質問を提出する次第である。 |