1) |
一部不開示が違法である贈与等報告書 |
@ |
「報酬の支払の基因となった事実」欄の記載が原稿執筆(作成)、寄稿、資料(テキスト)作成(チェック)、企画編集など(「原稿執筆」と総称する)であるか、「報酬の内容」欄の記載が原稿料、編纂料など(「原稿料」と総称する)である贈与等報告書 |
A |
「報酬の支払の基因となった事実」欄の記載が、講演、研究会(研修)講師、講義など(「講演」と総称する)であるか、「報酬の内容」欄の記載が講演(講師)料、講演(講師)謝金など(「講師料」と総称する)である贈与等報告書 |
2) |
本件処分が違法である理由−1 刊行物・講演自体の公開性
贈与等報告書の「報酬の支払をした事業者等と職員の職務との関係及び当該職員が所属する行政機関との関係」欄の記載によれば、報酬の支払をした事業者等は次のようなものである。 |
@ |
所管(認可、監督)の法人(公益法人、社団法人、財団法人) |
A |
専門新聞社、業界新聞社 |
B |
建設関連の出版社 |
C |
…(墨塗り)…調査研究の民間団体 |
これらの事業者等が発行する刊行物、または開催する講演会は、公開されたものであり、刊行物の記事・解説・論文の執筆者、および講演の講師の所属・氏名も公開のものである。
法5条1号は、個人識別情報の不開示を規定しているが、除外規定を設けている。原稿執筆者、講演の講師の所属部局・官職・氏名は、除外規定イの「法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当する。
従って個人識別情報を理由とする一部不開示処分は違法である。 |
3) |
本件処分が違法である理由−2 原稿・講演の職務性
処分省は原稿執筆あるいは講演が、勤務時間外または休暇取得中に行われたものであることを理由にして、法5条1号除外規定ハ(国家公務員の職務に係わる情報)に該当せず、不開示にできると主張するようである。
しかし原稿・講演の依頼者である上記2)の事業者等、および読者・受講者は、報告者の所属する部局の行政施策に関する解説、あるいは携わった職務で得た識見・知見にもとづく議論を求め、報告者はそれに応えて所属部局・官職・氏名を明らかにして発表するものである。
従って、原稿執筆・講演がどんな時間帯になされたのかに関わりなく、原稿・講演は職務に係わるものであり、贈与等報告書は法5条1号除外規定ハの国家公務員の職務に係わる情報に該当し、個人識別情報を理由とする一部不開示は違法である。 |
4) |
不開示処分を取り消すべき箇所
以上に述べたように個人識別情報を理由とする一部不開示処分には正当な根拠がないので、
@ 報告者の所属部局・官職・氏名だけでなく、処分省が「他の情報と照合することにより特定の個人を識別できる情報」として不開示とした、
A 報酬を支払った事業者等の名称および住所、
B 「基因となった事実」欄の記載、
C 「事業者等との関係」欄の記載、
を含めて、贈与等報告書のすべてについて開示すべきである。 |