処分省 国土交通大臣 林 寛子 殿
平成13年10月18日
異議申立人    高橋 利明
異 議 申 立 書

次のとおり異議申立をする。
異議申立人の住所・氏名・年齢
〒160-0003 東京都新宿区本塩町9番地 光丘四谷ビル6階
四谷見付法律事務所
高橋 利明 (63歳)
異議申立に係る処分
貴省の平成13年8月29日付けの異議申立人に対する行政文書開示決定通知書(国広情第533号)
異議申立に係る処分があったことを知った年月日
平成13年8月31日
異議申立の趣旨
「贈与等又は報酬の支払の基因となった事実」および「贈与等又は報酬の内容」欄の記載が、原稿執筆の原稿料の類、または講演の講師料の類である贈与等報告書(2万円以下分)全585件の、一部不開示処分を取り消すとの決定を求める。
異議申立の理由
(1) 情報公開請求
異議申立人は、平成13年7月2日、処分省に対して、情報公開法(以下「法」と言う)にもとづき、国家公務員倫理法第6条にもとづいて国土交通省職員から提出された、贈与等を受けた旨の報告書(以下「贈与等報告書」と言う)で閲覧対象以外のもの(平成12年度分)の情報公開請求をした。
(2) 一部不開示決定
処分省は、平成13年8月29日、(1)の請求に対し、開示対象文書596件について一部不開示処分(以下「本件処分」と言う)を行った。
不開示の理由として処分省は、「官職、氏名など特定の個人を識別できる情報、及び贈与等又は報酬の支払の基因となった事実欄など、他の情報と照合することにより特定の個人を識別できる情報については、法第5条1号に該当することからこれらの情報が記載されている部分を不開示とした。」としている。
(3) 本件処分の違法性
しかし、本件処分は本項 1)の贈与等報告書については、本項 2)および 3)に記述する理由で違法である。
1) 一部不開示が違法である贈与等報告書
@ 「報酬の支払の基因となった事実」欄の記載が原稿執筆(作成)、寄稿、資料(テキスト)作成(チェック)、企画編集など(「原稿執筆」と総称する)であるか、「報酬の内容」欄の記載が原稿料、編纂料など(「原稿料」と総称する)である贈与等報告書
A 「報酬の支払の基因となった事実」欄の記載が、講演、研究会(研修)講師、講義など(「講演」と総称する)であるか、「報酬の内容」欄の記載が講演(講師)料、講演(講師)謝金など(「講師料」と総称する)である贈与等報告書
2) 本件処分が違法である理由−1 刊行物・講演自体の公開性
贈与等報告書の「報酬の支払をした事業者等と職員の職務との関係及び当該職員が所属する行政機関との関係」欄の記載によれば、報酬の支払をした事業者等は次のようなものである。
@ 所管(認可、監督)の法人(公益法人、社団法人、財団法人)
A 専門新聞社、業界新聞社
B 建設関連の出版社
C …(墨塗り)…調査研究の民間団体
これらの事業者等が発行する刊行物、または開催する講演会は、公開されたものであり、刊行物の記事・解説・論文の執筆者、および講演の講師の所属・氏名も公開のものである。
法5条1号は、個人識別情報の不開示を規定しているが、除外規定を設けている。原稿執筆者、講演の講師の所属部局・官職・氏名は、除外規定イの「法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当する。
従って個人識別情報を理由とする一部不開示処分は違法である。
3) 本件処分が違法である理由−2 原稿・講演の職務性
処分省は原稿執筆あるいは講演が、勤務時間外または休暇取得中に行われたものであることを理由にして、法5条1号除外規定ハ(国家公務員の職務に係わる情報)に該当せず、不開示にできると主張するようである。
しかし原稿・講演の依頼者である上記2)の事業者等、および読者・受講者は、報告者の所属する部局の行政施策に関する解説、あるいは携わった職務で得た識見・知見にもとづく議論を求め、報告者はそれに応えて所属部局・官職・氏名を明らかにして発表するものである。
従って、原稿執筆・講演がどんな時間帯になされたのかに関わりなく、原稿・講演は職務に係わるものであり、贈与等報告書は法5条1号除外規定ハの国家公務員の職務に係わる情報に該当し、個人識別情報を理由とする一部不開示は違法である。
4) 不開示処分を取り消すべき箇所
以上に述べたように個人識別情報を理由とする一部不開示処分には正当な根拠がないので、
@ 報告者の所属部局・官職・氏名だけでなく、処分省が「他の情報と照合することにより特定の個人を識別できる情報」として不開示とした、
A 報酬を支払った事業者等の名称および住所、
B 「基因となった事実」欄の記載、
C 「事業者等との関係」欄の記載、
を含めて、贈与等報告書のすべてについて開示すべきである。
処分省の教示の有無及びその内容
本件開示決定通知書において,「この決定について不服があるときは、この決定があったことを知った日の翌日から起算し60日以内に、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、国土交通大臣に対して異議申立てをすることができます。」との教示があった。
その他
(1)証拠物件等 行政文書開示決定通知書 写し  1通