米大使館と国会議員との会食支出決裁文書の「存否応答拒否」処分を取り消す東京地裁の判決に対して、外務省が控訴した事件で、第2回口頭弁論が行われ、情報公開市民センターが「外務省は、平成14年度以降在外公館の国会議員との会食情報を開示するようになったことの認否をしていない。答弁・釈明を求める」と要求した。外務省が書面で答弁を行うことになり、次回期日3月25日に審理が続行されることになった。
1.訴訟の経緯
情報公開市民センターが行った、米大使館の便宜供与ファイルの部分開示に対する異議申立に対して、05年8月に情報公開審査会の答申が出され、答申に従って06年6月に開示が拡大された便宜供与ファイル文書で、いくつかの議員との会食の日時・会食場所・参加者が具体的に明らかになった。
市民センターは06年4月に、米大使館が国会議員に行った会食および供応に関する文書について開示請求を行った。外務省は6月に支出決裁文書を「存否応答拒否」とするなど、不開示処分をした。
市民センターは同年12月に、これらの処分のうち、市民センターが行っている東京高裁での報償費控訴審の対象期間に該当する「2000年2月木俣議員訪米時の会食の存否応答拒否処分」に絞って東京地裁に提訴し、判決が07年9月20日に言い渡され、市民センターが勝訴した。
外務省は判決に対して控訴し、控訴理由書を提出した。市民センターは答弁書を提出し、第1回口頭弁論が07年12月11日に行われ、外務省が市民センターの答弁書に対する反論を準備することになった。
この口頭弁論で裁判所は外務省に対して次の釈明を求めた。
1)平成12年2月当時の本件議員の所属会派(政党)
2)当時の本件議員の所属する国会委員会
3)当時の本件議員の訪米の日程、期間、用務
4)訪米の際の米国関係者との面談の予定の有無。有の場合、面談の対象者
2.外務省が準備書面(1)を提出
外務省は1月31日付で準備書面(1)を提出し、裁判所の発問(本件議員の所属会派など4項目)に対して、回答を行った。また市民センターの答弁書に対して次の反論を行った。
1)本件開示請求は、特定の会合を名指ししたものであり、存否を答えるだけで不開示情報を開示することになる。
2)存否応答拒否が必要な類型の文書については、行政文書が存在しているか否かにかかわらず、存否応答拒否をすることが許される。
3)本件会合が公にしないことを前提としたものであったか否か、実際に行われたか否かにかかわらず、本件会合の開催の有無を明らかにする本件文書の存否を応答することはできない。
3.第2回口頭弁論
第2回口頭弁論が2008年2月12日(火)午前11時から行われた。
市民センター:
外務省は準備書面で、市民センターの昨年12月11日付の答弁書に対して、次の事項だけ答弁していない。
「外務省改革で在外公館の国会議員との会食経費は、それまで報償費で支出してきたものを平成14年度から庁費へ移し、便宜供与の支出決裁文書は開示されるようになった。14年度以降は開示できるのに13年度以前は開示できない理由の答弁を求めたい。」
これについての認否、答弁を求める。
外務省:
この事項は本件と関係ないと判断した。平成14年度以前も以後も、公にできない会合と公にできる会合があり、公にできないものは報償費で支出している。
市民センター:
市民センターは在外公館の会食情報を広範に開示請求して点検したが、13年度以前には報償費以外の科目で開示された文書の中に国会議員との会食はなかった。秘匿性に変わりが生じた訳はない。答弁がなければ釈明を求める。
裁判所:
裁判所は外務省に、書面で必要な限りで答弁せよと指示した。
4.次回期日
外務省の書面提出の期限は3月14日までとされ、次回期日は3月25日(火)午前11時、825法廷と決定した。
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(鈴木祥宣 記) |
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