情報公開市民センター
外務省「存否応答拒否」訴訟、高裁でも勝訴(08.5.29)
−米大使館の国会議員への会食提供文書−
情報公開市民センターは、訪米した国会議員に在米大使館が提供した会食の支出文書を情報公開請求したのに対して、外務省が「存否応答拒否」して不開示とした処分は違法であるとして取り消しを求める訴訟をし、2007年9月20日の東京地裁での判決で勝訴したが、外務省が控訴して東京高裁で審理が行われていた。
2008年5月29日、東京高裁(吉戒修一裁判長)は外務省の控訴を棄却し、同省の処分は違法であるとの判決を下した。ふたたび市民センターが勝訴した。
高裁判決は、地裁の判決を踏まえたうえで、次の判断を付加した。
1.会合に関する行政文書の存否を回答し、会合の存在自体が明らかになったとしても、その内容を明らかにしない限り、それが公にすることを前提とするものか否かが明らかになるとは認めがたいから、その存否を回答すること自体から直ちに、公にすることを前提にしない会合の存否を開示したことになるということはできない。
2.本件文書のような支出関係文書については、その文書自体から会合の内容が明らかになることは通常は想定し難く、不開示処分の理由中において、当該会合が公にしないことを前提としてなされたものであることを具体的に説明せざるを得なくなるとは認め難い。
3.特定の国会議員を名指しした開示請求を繰り返しても、公にしないことを前提とする会合の存在が「あぶり出される」とも認め難い。
4.外務省の開示拒否処分において提示された理由は、具体性を欠く不十分な理由であり、理由を根拠づける事実の立証があったとも認めがたい。
(提訴の経緯)
情報公開市民センターは情報公開請求活動のなかで、米大使館の「便宜供与ファイル」の部分開示に対して異議申立をした結果、05年8月に出された情報公開審査会の答申にもとづいて06年3〜6月に開示が拡大された「便宜供与ファイル」文書で、数件の国会議員との会食の日時・会食場所・参加者が具体的に明らかになった。
センターはこれらの米大使館の国会議員との会食について、06年4〜7月に「支出決裁文書」の情報公開請求を行い、外務省が「存否応答拒否」の不開示処分をしたので、センターが行っている主要な訴訟である報償費訴訟の対象期間に該当する「2000年2月木俣議員訪米時の会食の存否応答拒否」処分について、同年12月に東京地裁に提訴したものである。
(鈴木祥宣 記)