2009年12月17日
情報公開市民センター
外務省報償費不開示取消訴訟の
確定判決に従わぬ黒塗り開示に異議申立て
1.報償費訴訟の判決確定を受け外務省が文書を開示
情報公開市民センターは、平成13年4月、外務省に対して、大臣官房、米・仏・中国・フィリピン大使館で平成12年2月および3月に支出された報償費(機密費)に関する支出文書の情報公開請求をし、不開示処分に対し、不開示処分取消訴訟を提訴し、平成18年2月の東京地裁判決、平成20年1月の東京高裁判決を経て、平成21年2月の最高裁の、処分庁および異議申立人の申立却下により東京高裁判決が確定した。
外務省は、確定判決を受けての文書開示を大幅に遅らせていたが、10月16日付で開示決定を行った。そのうち、対外的な接触をする会合(直接接触)の支出文書の黒塗り開示は、確定判決に従っていないものであった。
(間接接触の開示文書については当ホームページ11月12付記事を参照)
2.確定判決は職員氏名、支払先、目的・内容、支払方法のみの不開示を命令
確定判決は、直接接触の支出文書について、不開示を「請求書」および「領収書」、およびそれ以外の文書の「文書作成者名」、「決裁者名」、「支払予定先」、「支払先」、「目的・内容」、「支払方法」、「取扱者名」と特定し、その余の部分の不開示処分の取消を命じた。
3.外務省は文書を黒塗りし、年月日と金額のみを白抜き
ところが外務省は、文書全体を文書の標題も含めて黒塗りして、「年月日の記載部分」および「金額の記載部分」のみを白抜きで開示するという、判決が「不開示部分」と認めた部分を超えて不開示とする方法を採った。
判決で不開示を認められた部分以外については、黒塗りは許されない。文書に「標題」や「文書名」が付されていれば、これを隠すことはできない。また、文書の中に書式として印字されている記載項目名の表示なども、黒塗りは許されない。
また、「文書の開示」であるから、開示された情報の記載されている文書の、一体性や独立性(文書が1枚の紙面で構成されているか、複数頁のものか)も判別が付くようにして、開示をしなければならないはずである。複数開示された文書の区分すらつかないのでは、「文書の開示」とはならない。黒塗り開示された文書は、前後のページが同一の文書か、別の文書であるのかも判別できない。これは「文書の開示」とはなっておらず、確定判決の命令に反するものであると同時に、情報公開法の「当該行政文書を開示しなければならない。」とする趣旨に基本的に反するものである。
4.市民センターは異議申立書を提出
情報公開市民センターは、12月17日に外務省に対して、直接接触の支出文書の開示方法を改めることを求めて異議申立書を提出した。
(担当:鈴木)