平成21年12月17日
処分庁 外務大臣 岡田 克也 殿
異議申立人 特定非営利活動法人 情報公開市民センター
理事長 高橋 利明
異 議 申 立 書
次のとおり異議申立をする。
1 異議申立人の住所・氏名
〒160-0011 東京都新宿区若葉1丁目10 大洋ビル5階
特定非営利活動法人 情報公開市民センター
理事長 高橋 利明
2 異議申立に係る処分
処分庁の平成21年10月16日付の異議申立人に対する次の5件の「行政文書の開示請求に係る決定について(通知)」のうち、「対外的な接触をする会合経費支払証拠書類」についての不開示(部分開示)処分(以下「本件処分」という)
行政文書の名称等
貴省大臣官房で支出された平成11年年度中の平成12年2月及び3月に支出された「報償費」に関する支出証拠、計算証明に関する計算書等支出がわかる書類 (開示請求番号 2001-00054)
貴省在外公館である在米日本国大使館で平成11年年度中の平成12年2月及び3月に支出された「報償費」に関する支出証拠、計算証明に関する計算書等一切 (開示請求番号 2001-00055)
貴省在外公館である在仏日本国大使館で平成11年年度中の平成12年2月及び3月に支出された「報償費」に関する支出証拠、計算証明に関する計算書等一切 (開示請求番号 2001-00057)
貴省在外公館である在中国日本国大使館で平成11年年度中の平成12年2月及び3月に支出された「報償費」に関する支出証拠、計算証明に関する計算書等一切 (開示請求番号 2001-00058)
貴省在外公館である在フィリピン日本国大使館で平成11年年度中の平成12年2月及び3月に支出された「報償費」に関する支出証拠、計算証明に関する計算書等一切 (開示請求番号 2001-00059)
3 異議申立に係る処分があったことを知った年月日
平成21年10月22日
4 異議申立の趣旨
処分庁の本件処分は、確定判決(後述)が命じた文書の開示となっておらず、また、情報公開法(以下「法」と称する)5条1項本文の解釈を誤ったものであるから、同判決の命令に従った開示処分を求める。
5 異議申立の理由
(1)情報公開請求から本件処分までの大略経緯
異議申立人は、平成13年4月2日、処分庁に対して、法にもとづき、第2項記載の文書の情報公開請求をした。
処分庁が平成13年6月1日に行った不開示処分に対し、異議申立人は不開示処分取消訴訟を提訴し、平成18年2月28日の東京地裁判決、平成20年1月31日の東京高裁判決を経て、平成21年2月17日の最高裁の、処分庁および異議申立人の申立却下により東京高裁判決が確定した。(以下「確定判決」と称する。)
(2)確定判決による処分庁の本件処分
処分庁は平成21年10月16日付の開示等決定で、第2項記載の行政文書のうち、「対外的な接触をする会合経費支払証拠書類」とする文書について、部分開示とする本件処分を行った。
(3)確定判決が命じる開示部分・不開示部分
確定判決は、主文において、各部署ごとに、類型欄に「直接」の記載がある文書(すなわち処分庁が「対外的な折衝をする会合経費支払証拠書類」とする文書)について、文書名が「請求書」および「領収書」である文書、並びに前同文書以外の文書の「文書作成者名」、「決裁者名」、「支払予定先」、「支払先」、「目的・内容」、「支払方法」、「取扱者名」の記録部分を除いて、不開示処分の取消を命じた。(判決2−5ページ)
(4)本件処分における開示部分・不開示部分
処分庁の本件処分は、確定判決が「本件各行政文書のうち直接接触に係る文書895件」とする文書につき、文書全体を、文書名も含めて黒塗りして、「年月日の記載部分」および「金額の記載部分」のみを白抜きで開示するという方法を採った。
(5)本件処分は確定判決に従っていない
確定判決は、上記(3)で示したように、「請求書」「領収書」以外の文書については、「文書作成者名」、「決裁者名」、「支払予定先」、「支払先」、「目的・内容」、「支払方法」、「取扱者名」の記録部分のみを不開示とし、その余の部分は開示することを命じている。
しかるところ、本件処分においては、前述のとおり、「直接接触に係る文書895件」である文書については、文書の標題も分からないようにして、文書全体を黒塗りして、「年月日の記載部分」および「金額の記載部分」のみを白抜きで開示するという方法を採った。この処分は、法5条1項本文が、「……開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。」とする趣旨に基本的に反するものである。
確定判決は、判決主文で明らかなように、上記の895件については、判決別表の各行政文書ごとに、不開示部分を、「文書作成者名」、「決裁者名」、「支払予定先」、「支払先」、「目的・内容」、「支払方法」、「取扱者名」と特定して、その余の記載部分の開示を命じているのである。したがって、処分庁はこの命令に従って開示措置をとらなければならないのであり、当該行政文書について、「不開示部分」とされた部分以外については、黒塗りは許されないものである。当該文書に「標題」や「文書名」が付されていれば、これを隠すことはできない。また、当該行政文書の中に、書式として印字されている記載項目名の表示なども、黒塗りは許されない。
また、「文書の開示」であるから、開示された情報の記載されている文書の、一体性や独立性(文書が1枚の紙面で構成されているか、複数頁のものか)も判別が付くようにして、開示をしなければならないはずである。複数開示された文書の区分すらつかないのでは、「文書の開示」とはならない。本件処分では、黒塗り開示された文書の各ページは、文書名も明らかにされないばかりか、判決別表のどの通番の行政文書であるかが分かるようにされておらず、これらのため前後のページが同一の文書か、別の文書であるのかも判別できない。これは「文書の開示」とはなっておらず、確定判決の命令に反するものであると同時に、法5条1項本文の「当該行政文書を開示しなければならない。」とする趣旨に基本的に反するものである。
(6)本件処分は違法である
以上のとおり、本件処分は、確定判決が不開示を認めた部分を超えて不開示の処分を行っているものであると同時に、法5条1項本文の「……開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。」とする規定の解釈を根本的に誤ったものである。
処分庁は、確定判決に従わず、独自の解釈にもとづいて、不開示部分を不当に拡大したものであり、この違法は重大である。よって、この処分は速やかに改められるべきものである。
6 処分庁の教示の有無およびその内容
本件処分の通知において、「この決定に不服があるときは、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条に基づき、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に外務大臣に対して異議申し立てをすることができます。」との教示はなかった。
以 上