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請求件数のカウント(20点) |
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情報公開法の施行令では文書請求件数は「行政文書ファイル」数によりカウントし「相互に密接な関連を有する複数の行政文書」は「1件の行政文書とみなす」と定めている。 今回、会議費の支出証拠文書の請求では、多くの省庁が1件と認めたにもかかわらず、総務省と国土交通省は5件とした。両省は政令に定める文書のカウント方法に基づいて判断していると主張するが、その理由は食い違っており、結果的に両省の恣意的判断と見ざるを得ない。 |
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手数料の現金払の可否(5点) |
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開示実施にあたって複写を請求したときには、多種多額な印紙を用意することが不便なことが多いので、現金でも納付ができるように運用を弾力化するよう要請されているが、6省庁が対応していない。 |
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受付書の交付(5点) |
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他の省庁は請求書に受理印を捺印し、コピーを交付しているが、財務省だけは請求者に1枚20円を支払わせて自分でコピーさせている。 受付書はその後の補正や問い合わせに必要なものである。コピーの実費は10円未満でもあり、開示請求手数料300円でカバーされるものとして受付書を交付すべきだろう。 |
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(4) |
出納整理期間の文書の開示(5点) |
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出納整理期間の文書への対応が省庁によって大きく違った。すなわち、請求時点(4月24日)には出納整理期間中の支出決定簿は完成していなかったとの理由で防衛庁、外務省は「不存在につき不開示」処分とした。他の省庁は、開示請求日現在では作成途上であっても、5月下旬の開示決定日までには作成出来る文書として開示した。
防衛庁、外務省にも窓口で請求の趣旨をきちんと説明しているので、他の大方の省庁と比較して著しく不親切な取扱いであると判断し0点とした。 |
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(5) |
請求から閲覧までの期間(30点) |
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法務省、環境省、警察庁、会計検査院は、請求より開示決定通知書の発送などを経て閲覧に至るまでの期日が30日以内であり、早期開示に努めている点が評価できる。 外務省を除くその他の省庁は40日以内。 |
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(6) |
不開示理由の明示(10点) |
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会議費および諸謝金の開示等決定通知書の不開示の理由と開示文書をつき合わせて次の基準で評価した。 |
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文書あるいは文書の種類ごとに不開示の部分、根拠条項、理由が具体的に記載されている場合 |
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10点 |
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理由が根拠条項の記載のみか抽象的な表現の場合 |
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5点 |
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会議費で、積極的に説明しようとする努力が不足しているのは法務省、財務省文部科学省、防衛庁であった。
諸謝金で理由説明が根拠条項に止まっているか、開示文書の該当部分との対応がつけられていない省庁は内閣府、農林水産省、国土交通省、環境省 |
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(7) |
事業者の請求書の振込先口座および印影の開示(20点) |
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過去2回の情報公開度調査では、請求書に記載されている振込先口座および印影は業者の内部管理情報とみなされ、法人利益を損なうおそれがあるとして不開示とされてきた。
しかし、最高裁は奈良県食糧費情報公開請求事件の上告審判決で、支払請求事業者等の請求書の振込先金融機関名、口座番号等は、不特定の顧客に対する振込みの便宜のために自らの意思で記載されたものであり、また印影は、通常は銀行取引に使用する印章を請求書に押捺することはないので、開示されたとしても必ずしも事業者等の「正当な利益等が損なわれると認められるものには当たらない」とした。
法務省は最高裁の判決に対し、情報公開法の条文は「正当な利益を害するおそれがある」であり、奈良県条例の「正当な利益が損なわれると認められるもの」に比べれば、その範囲は広く解釈はされると主張する。 しかし、不特定多数の顧客に送る請求書に記載された振込先口座や印影を開示することが、その業者の利益を害するとは「認められるものには当たらない」がその「おそれ」はあると一律に解釈し、すべてを不開示とする根拠は極めて希薄である。
最高裁の判決を受けてこれらを全面的に開示したのは、経済産業省、国土交通省、環境省、警察庁、会計検査院。
総務省は相手業者に使用した印鑑を確認し、銀行印や実印の場合のみ不開示にしたが、これは説得力がある。(20点) 内閣官房、内閣府は業者利益を損なうおそれがあるとして振込先口座は墨塗りとし、請求者印のみを開示した。(10点)
全面不開示にした省庁は法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、防衛庁の7省。 |
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支出決定簿に会議費を示す記載またはマーキングがあったか(5点) |
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庁費の支出決定簿には多種多様の支出項目がアトランダムに記載されており、どれが会議費に該当するかを判断するのは容易ではない。
「会議費」と記載されていたのは文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、会計検査院
マーキングを付したところは総務省、法務省、外務省 |