万博収支予測等不開示訴訟勝訴
 2001年8月1日に名古屋地裁に名古屋市民オンブズマンが提訴した情報公開法に基づく取消訴訟が2001年12月13日に結審となり、即日判決言い渡し、完全勝訴となりました。

 これは平成13年4月2日付で中部経済産業局に情報公開請求した「2005年日本国際博覧会協会長期借入金の承認平成12年度」の不開示部分の一部(借入先の都市銀行及び地元の金融機関16行によるシンジケート団名 及び博覧会協会の年度別の運営費の収支見通し)の取消を求める訴訟です。(愛知万博収支予測等不開示取消訴訟)

 情報公開法が2001年4月1日から施行され、本判決が初判断です。(全国市民オンブズマン連絡会議調べ)
 また、非公開処分を争った文書は以下からダウンロードできます。
 http://www.ombnagoya.gr.jp/expo/010801.pdf

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平成13年12月13日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成13年(行ウ)第41号 行政文書不開示処分取消請求事件
口頭弁論終結日 平成13年12月13日

判           決

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

主           文

1 被告が、原告から平成13年4月2日付けでなされた行政文書(「2005年日本国際博覧会協会長期借入金の承認 平成12年度」と題する文書)の開示請求に対し、同年5月31日付けでした一部不開示決定のうち、以下の各部分を非開示とした部分を取り消す。
(1)「長期借入金の借入条件等」と題された書面のうち、「1.借入先」欄に記載されている都市銀行及び地元の金融機関の名称
(2)「EXPO2005:年度別の運営費の収支見通し」と題された書面のうち、「2001年度」欄のうち「総人員の推移(期末)」を除く部分、「2002年度」ないし「2005年度」欄の各部分及び「合計」欄のうち「収入」、「入場料収入」、「支出」欄を除く部分
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
 本件は、原告が被告に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき、行政文書の公開請求をしたところ、被告が同文書の一部を非開示とする旨の処分(以下「本件処分」という。)を行ったことに対し、原告が、非開示部分の一部の開示を請求して本件処分の一部取消しを求めた抗告訴訟である。
1 争いのない事実等
(1)当事者

ア 原告は、平成2年に行政監視等を目的として設立された権利能力なき社団であり、名古屋市内に事務局を有している。

イ 被告は、「平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律」(以下「特別措置法」という。)の主務官庁の一つである通商産業省(現経済産業省)の地方部局である中部経済産業局の長であり、法に基づく文書開示請求の相手方兼開示義務の主体となる者である(乙3)。
 また被告は、「通商産業大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則」12条に基づき、財団法人2005年日本国際博覧会協会(以下「協会」という。)の通商産業大臣あて申請、届出及び報告を進達する機関であった。

ウ 協会は、平成9年6月12日にB.I.E.(博覧会国際事務局)総会において決定された2005年度国際博覧会(以下「愛知万博」という。)の開催準備及び運営の実施主体として、民法34条に基づいて設立された公益法人である(乙1)。
(2)行政文書公開請求

 原告は被告に対し、平成13年4月2日、情報公開法4条1項に基づき、「2005年日本国際博覧会協会長期借入金の承認平成12年度」と題する行政文書(以下「本件行政文書」という。)の開示請求を行った(甲2)。
(3)本件処分

 被告は、平成13年5月31日付けで、本件行政文書中、以下のア、イ(以下、それぞれ「本件係争部分1」、「本件係争部分2」という。)外4か所、合計6か所は情報公開法5条2号に該当するとして、それらを非開示とする旨の本件処分を行い(甲1)、同処分は、同年6月2日、原告に通知された。

ア 協会作成に係る「長期借入金の承認申請について」と題する書面(甲3の8)の添付文書である「長期借入金の借入条件等」と題された書面のうち、「1.借入先」欄に記載されている都市銀行及び地元の金融機関の名称(甲3の10)

イ 同様の添付文書である「EXPO2005:年度別の運営費の収支見通し」と題された書面のうち、「2001年度」欄のうち「総人員の推移(期末)」を除く部分、「2002年度」ないし「2005年度」欄の名部分及び「合計」欄のうち「収入」、「入場料収入」、「支出」欄を除く部分(甲3の11)
2 本件の争点及びこれに関する当事者の主張
 本件係争部分1、2が、情報公開法5条2号イの定める「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか否か。
(1)被告の主張
ア 協会の性質について 協会は、上記のとおり、民法34条に基づいて設立された、国とは別個の私法人であって、個別の法律によって設置される特殊法人でもない。協会の会長は、主務大臣が任命権を有するわけではなく、理事会において互選される(寄附行為18条)。事業計画についても、主務大臣の認可を必要とするものではない(寄附行為11条)。
 また、愛知万博は、協会が開催の責務を負うこととされ、政府は、国際博覧会条約10条に基づき、開催者の義務の履行を保証する立場にあるにとどまる。現に、特別措置法2条は、国は、博覧会の準備又は運営に要する経費の一部を補助することができることを定めているにすぎず、これに基づく閣議了解では、会場建設費については国が一定の補助を行うものの、会場運営費については、国によるいかなる負担、助成を行わないこととされているから、愛知万博が国の行事として位置づけられるものではない。
 そして、本件係争部分1、2の各情報は、いずれも協会の会場運営費に関するものであるところ、これは入場料収入等によって賄われることになっているから、納税者たる国民及び県民によって支えられる性質のものではない。
イ 本件係争部分1について
(ア) いかなる法人等においても、金融機関との取引の状況は、当該法人等の信用、資金調達力、資産等の有無、多寡を表す指標そのものというべき事柄であるから、その公表を強いられないことは、当該法人等が自律的な意思決定及び事業遂行を全うするために必要不可欠であって、これに関する事項は営業上又は経営上の秘密に属するものである。特に借入情報については、株主等に対する情報公開が義務づけられている上場企業においてすら、短期又は長期借入金別の合計金額及び主要取引金融機関名についてのみ公表が義務づけられるにすぎない。以上のことは、金融機関との間に既に開始された取引に関する事項のみならず、いまだ交渉中の、又は将来に見込まれる取引に関する事項についても同様である。むしろ、後者の事項は、意思決定ないし合意の過程におけるより浮動的性質のものであるから、一層秘密を保護する必要が大きい。とりわけ、借入交渉途上における事項については、経営戦略の根幹に係る内部情報として公表されないし、金融機関側においても、これが公表されることはないという信頼の下に借入れを申し込んできた者との交渉に臨み、貸付けの当否を検討しているから、これらが開示されれば、今後、金融機関がシンジケート団に加わることを躊躇し、少なくとも借主が融資を受けるための交渉上不利な立場に立たされることは必定であり、ひいては円滑な資金調達の道が狭まる結果を招くというべきである。
 したがって、法人等の金融機関との取引に関する情報の秘密を保持する権利利益は、特別の事由がない限り、情報公開法5条2号イにいう当該法人等の「権利、競争上の地位」に当たり、経験則上、上記情報を公にした場合には、それにより直ちに当該法人等の上記の権利利益が害されるものとして、当該法人等に具体的にどのような不利益な事態が生ずるおそれがあるかなどをそれ以上論ずるまでもなく、内部管理情報として、直ちに情報公開法5条2号イに該当する。
 本件についてみると、協会が博覧会事業を適正かつ円滑に遂行するためには、財務基盤の安定を図り、健全な経営を行っていくことが不可欠であり、このような観点からは、協会がその事業に関する情報のすべてを開示することは相当ではなく、取引上の秘密として保持すべき情報等については、これらを開示することによって取引の相手方との信頼関係を損ね、ひいては協会の資金調達を妨げ、事業の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから、開示は有害ですらあるところ、協会は複数の金融機関が共通の貸出先に同一の融資条件で貸出しを行うという協調融資(シンジケート・ローン)と呼ばれる形態により融資を受けており、本件係争部分1に係る情報は、平成12年度の協会の長期借入金の借入先のシンジケート団の構成予定員を内容としているから、協会の営業上の秘密に属する。そして、このような資金調達状況その他の通常一般に入手できない財務に関する情報である上記金融機関名を公開することは、契約前のシンジケート団の参加希望、予定機関を公開することになり、そのことによって直ちに協会の営業上の秘密が害されることとなるから、当該情報は、情報公開法5条2号イに該当する。
(イ) また、情報の内容及び性質並びに協会の地位、事業及びこれを取り巻く諸条件に照らせば、協会の資金調達等の事業活動に支障を来し、協会の事業遂行上の具体的利益が害されるので、本件係争部分1に係る情報が公開されれば、実際には協会の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれもある。
 すなわち、本件係争部分1に係る情報は、融資契約を締結する以前の段階の交渉相手先の情報であり、協会と金融機関との間の信頼関係を維持し、協会がより有利かつ円滑に融資等の取引をすることができるようにするため、正式に契約が締結されるまでは、協会の意思に反して公にされないよう保護されるべきことは商慣習ないし商道徳上当然のことであって、これが公開されると、協会と融資予定銀行との間の信頼関係を損ない、ひいては円滑な資金調達が困難になるおそれがあることは明らかである。とりわけ、上記情報は、協会が融資を受けることを検討した金融機関名であって、これが実際に融資を行った金融機関名と一致するとは限らないから、これを明らかにした場合、協会が当初借入先として予定し、交渉したが、ついに融資を受けるに至らなかった金融機関の有無及びその名が推知され、その結果、当該金融機関は、協会の財務状況がぜい弱であると判断したり、あるいは協会の運営方針及び博覧会事業の遂行に危倶を抱いたりしたため融資を避けたものであろうなどと他から憶測されることとなる。そして、このような憶測は、その性質上、伝播性が高く、金融機関その他の取引相手及び世上に広く流布しがちなものである。また、当該情報に接した者が、結果として融資を行わなかった金融機関に着目した場合、近年の不良債権処理問題を背景として、それは当該金融機関自体の財務内容、経営状況が芳しくないからであると推測し、そのような風評が流布される可能性もあり、そうした場合、当該金融機関の利益が害されるのみではなく、当該金融機関と協会との間の信頼関係も崩壊し、結果、協会の正当な利益も害されるおそれがある。さらに、国際博覧会の開催を巡る賛否両論の中で、交渉途上の情報が開示されると、反復ないし継続して今後も行われる借入交渉に際し、借入予定の金融機関に対して、両論いずれかの立場から有形無形の圧力がかかるおそれもあり、それを厭う金融機関等が協会との取引に消極的となり、取引の交渉すら拒絶するおそれもある。
(ウ) なお、原告は、本件処分時において、本件係争部分1は既に公にされていたと主張し、その根拠として、1.平成12年3月21日に開催された協会の第8回理事会・評議員会の配布資料中に借入予定先金融機関名である本件係争部分1が記載され、2.さらに平成13年6月19日に開催された第14回理事会・評議員会で配布された同年3月31日時点の財産目録に長期借入先(融資実行)金融機関名として本件係争部分1が記載され、3.これらの情報は、愛知県の県民サービスセンターで閲覧、謄写が可能であることを挙げる。
 しかしながら、1.の情報は、平成12年3月21日時点において協会が借入を希望していた金融機関名であって、交渉に入る前のものであるのに対し、本件係争部分1は、同年9月段階において協会が交渉を行っていた金融機関名であり、両者の内容は質的に異なる。同様に、2.の情報も、平成13年3月31日時点において長期借入残高のある金融機関名であり、本件係争部分1の内容と質的に異なる。よって、1.ないし3.の事実によって、本件係争部分1の内部管理情報性は失われていない。
 また、一般に、行政処分の違法性の判断基準時は、当該処分の行わわた時点と解すべきところ、2.の情報は、平成13年6月19日に開催された理事会・評議員会にて公にされたものであるのに対し、本件処分は同年5月31日であるから、2.の事実を本件処分の違法事由とすることはできない。
ウ 本件係争部分2について
(ア) 本件係争部分2は、協会の年度別の運営費の収支見通しを内容としているから、将来の期間における協会の財務状況の試算に係る情報であるところ、法人等の財務状況に関する情報についても、金融機関との取引に関する情報について前記イ(ア)で述べたことが当てはまるから、同部分に係る情報は、特別の事由がない限り、情報公開法5条2号イにいう当該法人等の「権利、競争上の地位」に当たり、当該法人等に具体的にどのような不利益な事態が生ずるおそれがあるかなどをそれ以上論ずるまでもなく、直ちに情報公開法5条2号イに該当する。
(イ) 本件係争部分2が記載されている添付文書は、協会が金融機関から借入れを行う長期借入金について経済産業大臣の承認を得るための申請を行うに際して添付した資料であるところ、そもそも、資金計画は、あくまでも試算的な数値であり、流動的要素を含むものであるにもかかわらず、これを公開すると、確定的なものと受け取られて流布することが往々にして生ずる。そして、当該数値があたかも前提とされているかのような状況が生じ、協会の運営、博覧会事業の遂行に関し、協会が本来採り得た最適の選択肢を採り得なくなる蓋然性が高い。特に、本件運営費の収支見通しにある将来の予測値は、協会の経済的、社会的評価や信用等に関わる事項であって、協会の今後の運営に関する財務予定の中核の地位を占め、金融機関との融資交渉過程において交渉相手にのみ示す、いわば協会の手の内情報というべきであるから、みだりに公開されない利益を有している。
 愛知万博は、会場計画、輸送計画、出展・催事、市民参加の在り方等をこれから立案しようとしている段階であり、基本計画骨子すら策定されていない状況にある。特に、本件係争部分2は、長期借入承認時点におけるB.I.E.に登録申請した計画(平成10年段階)を基にした試算値であるが、この時点における計画は未だ概括的であり、その後の基本計画骨子を経て、基本計画の策定に至るまでの熟度を次第に高めていく過程で、内容が大きく変わることを予定していたものであるところ、実際にも、平成13年10月15日公表の基本計画骨子、同年12月3日公表の基本計画においては、当初の計画と相当なずれを生じている。したがって、こうした段階での収支見通しは、確度の高いものではないにもかかわらず、公開されると、その数値が既成事実となり、固定された数値であるかのような誤解を招くことになる。
 また、補助金等収入(国や地方公共団体以外の団体からの補助金)や付帯事業収入等については、相手方から確約を得た金額が記載されているわけではなく、あるいは契約交渉に入っていない段階での試算値であるため、これらを明らかにすると、いわば手を縛られたまま戦いを挑むようなものであって、今後の相手方との交渉等に支障を来すおそれが高い。
 しかも、本件処分当時は、愛知万博の計画概要等が抜本的に見直されている時期であり、かかる状況で過去の計画概要を基に作成された収支見通しが公開されると、愛知万博の事業内容が検討されている段階であるにもかかわらず、あたかもこれが確定しているかのような誤解が生まれ、既定方針として変更できないかのような世論等が形成されることにより、今後適切な基本計画を策定することが困難となるおそれがある。
 一般に人の認識能力には限界があり、かかる情報を公にした場合に、これに接した者が常にそれを正しく読み取り、読解又は曲解に基づく違法又は不当な行動をとることはないと考えることは、人の本性を知らない空論であり、現に最近のわが国の情報化社会の進展と多様化に伴い、マスメディア等による「誤報」が増大していることにかんがみると、一般国民の間に実体以上の期待、不安、抱負や先入観を惹起し、今後の運営に支障をもたらすおそれがある。
エ 原告主張の情報公開の必要性について

 原告は、本件係争部分1、2に係る情報が、国民及び愛知県 民が愛知万博の実施計画についての提案や見直しの提案をする上で重要なものと位置づけた上で、法1条を根拠に、愛知万博の開催に責任を有する政府は、国民に対し、上記情報を公開して愛知万博の事業を説明する責任があると主張する。
 しかしながら、行政機関がその保有する文書を開示するか否かは、法の規定する不開示事由に該当するか否かによって決せられるものであって、これを離れて当該情報の国民や愛知県民にとっての重要性の有無、程度さらには世論の関心の高さなるものによって判断すべきではない。
(2)原告の主張
ア 協会の性質について

 協会は、国民的大事業である博覧会の開催者という重大な任務を負うものである。また、協会と政府との関係についてみれば、被告が主張するように、政府は国際博覧会条約10条に基づいて協会の義務の履行を保証する立場にあり、協会と政府とは密接な関係にある。加えて、政府は協会の準備態勢を早急に充実させ、博覧会の準備及び運営を行う協会に対して、資金調達及び人材確保等の面でできる限りの協力をするため、特別措置法を制定している。このように、協会は政府と密接な関係にある法人であり、事業の内容からみて、一般の財団法人や株式会社と異なる存在であって、政府、行政との関係においても一般の財団法人や株式会社と明らかに異なる関係に立つ。
 したがって、情報公開法5条2号イに規定する「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、協会を単純な私企業として位置づけるのてはなく、行政機関に類似する関係として位置づけるべきである。
イ 本件係争部分1について
(ア) 本件係争部分1に係る情報(協会の長期借入金の借入先情報)は、1.平成12年3月21日に開催された協会の第8回理事会・評議員会の配布資料中に借入予定先金敵機関名である本件係争部分1が記載され、2.さらに平成13年6月19日に開催された第14回理事会・評議員会て配布された同年3月31日時点の財産目録に長期借入先(融資実行)金融機関名として本件係争部分1が記載され、3.これらの情報は、愛知県の県民サービスセンターで閲覧、謄写が可能であること、以上の事実に照らすと、本処分時には少なくとも愛知県情報公開条例26条に根拠を有する情報提供の制度によって公にされている情報であって、協会の営業上又は経営上の秘密に属する情報ではない。したがって、借入先情報の公開によって協会の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるか否かを論ずるまでもなく、同情報は、情報公開法5条2号イに規定する情報には該当しない。
(イ) 仮に、本件係争部分1に係る情報が本件処分時には公にされていなかったとしても、同情報を公開することが協会の正当な利益を害するものではない。
 被告は、協会を営利を目的として設立された純粋な私企業と完全に同視すべきとの前提で、るる主張するが、協会が純粋な私企業ではないことは前記アのとおりであり、円滑な資金調達のための特別措置法まで制定されて保護されている協会が、金融機関側からみた融資金の回収のリスクについて、平均的な純粋な私企業と全く同様の程度であるはずはない。また、被告は、借入先の金融機関中、実際に融資をしなかった金商機関の存在を仮定して主張を展開しているが、既に公になっている前記情報から、そのような金融機関は1行も存在していないことが明らかになっている。さらに、被告は、公開によって、金融機関が取引の交渉を拒絶するなどと主張するが、本件本処分時には予定の金融機関16行は既に融資を完了しており、かかる危倶は確率的可能性としても存在しない。
 以上のとおり、被告の主張は協会の公的性格を全く無視したものであり、また事実にも即さないものであって理由がない。
ウ 本件係争部分2について
(ア) 情報公開法5条2号イの「害するおそれ」の判断に当たっては、単積る確率的な可能性があるだけでは足らず、法的保護に値する蓋然性が必要であると解されるから、運営費収支見通しの公開が協会の利益を害するおそれがあると言えるためには、開示によって予想される害悪の発生が法的保護に値する程度に蓋然性の高いものでなければならない。
(イ) 被告は、本件係争部分2が開示されれば、金融機関その他の取引先との交渉上、不利な立場に立たされることになると主張するが、この点に関する被告主張は極めて抽象的であり、単に協会が金融機関や取引先と交渉を行う場合のスキルやそれに伴う困難を述べているにすぎない。そもそも、取引先が協会に対し、協会が国に提出した収支見通し情報の開示を求めた場合には、同収支見通し情報を取引先に開示しなかったことそれ自体が協会に不利に働くこともあり得る。民間企業であれば、金融機関に融資を依頼する場合に、収支見通しを示すことなく融資が受けられる、などということは一般的にあり得ないはずである。
(ウ) また、被告は、試算値としての性格が看過され、又はそれが十分に理解されないまま人々に受け入れられ、誤解に基づく対応が呼び起こされることによって協会の正当な利益を害すると主張するが、これは単なる確率的な可能性を述べるものにすぎない。誤報の可能性があることを理由として情報の不開示を行うという立論は、報道機関の報道には誤報の可能性が全くないとはいえない以上、あらゆる情報の開示を拒む理由となり、文書公開の制度それ自体を否定することに結び付く。そもそも誤報を生み出す大きな原因となっているのは情報の公開制度ではなく、行政機関が情報を開示しないこと自体にある。すなわち、情報がそのまま開示された場合には、それだけ報道する側の憶測や予測の介在する余地はないが、情報が公開されない場合には、報道機関としては僅かに明らかになっている断片的な情報をつなぎ合わせて、憶測に基づく事実として報道をせざるを得ないために、事実と異なる報道が行われる素地が生み出されるのである。そして、世人の関心の高い情報や世論の関心の高い情報こそ、情報公開法1条にいう「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」という目的を満たすために開示が要求されるのであって、世人の関心の高い情報になればなるほど誤報の可能性が高くなるとする被告の立論は本末転倒である。
エ 情報公開の必要性について

 愛知万博は、閣議決定を経て国の行事として開催されることが決定しているばかりか、工事費、関連事業費等については、国、地方公共団体、地元企業の負担によって賄われることが決まっている。これらに照らせば、協会がどのような収支見通しの下で愛知万博を計画し、そのためにどの金融機関から借入れを行っているかに関する本件係争部分1、2の各情報は費用の多くを支える納税者たる国民及び県民にとって、実施計画の提案や見直しの提案をする上で極めて重要というべきである。
 そして、情報公開法1条に「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする」とともに「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする」と規定されていることにかんがみると、政府は、愛知万博の開催に責任を持つ者として国民に対して事業予測や借入予定に関する情報を公開して、愛知万博事業を説明する義務があるというべきである。
第3 当裁判所の判断

1 協会の財政、運営等について

証拠(乙1ないし5)及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。
(1) 協会の寄附行為上、その資産は、設立当初の財産目録に記載された財産、設立後寄附された財産、資産から生じる収入、補助金収入、事業に伴う収入及びその他から構成される(5条)が、その相当部分は、国ないし地方公共団体からの出損によって充てられ、ないし充てられることが予定されている。そして、事業計画書及び収支予算書並びに事業報告書及び収支決算書は、いずれも経済産業大臣に提出されることとされ(11、12条)、また、協会が資金の借入れを行い、又はそれ以外の新たな義務を負担する等の場合は原則として経済産業大臣の承認を要するとされている(15、16条)。
 協会の役員は、理事数十名と監事数名から構成され、前者のうち1名を会長、十数名を副会長としている。また、理事のうち必要に応じた数の者を常任理事とすることができる(17条)。役員は、会長が委嘱した百数十名の評議員から成る評議員会にて選任される(18、23条)が、現在、これらの者には、経済団体を初めとする各分野の団体関係者に加えて、愛知県内外の地方公共団体の長や議会関係者らが就任している。
(2) 特別措置法は、国が協会に対し、予算の範囲内において必要経費の一部を補助することができるとし(2条)、その準備及び運営に必要な資金に充てるために寄附金付郵便葉書等を発行することができるとしている(3条)。また、常勤の協会職員に対する退職手当その他の給付等については、国家公務員退職手当法、国家公務員共済組合法、地方公務員共済組合法等が適用される(4条)が、これは公務員からの出向を念頭においた規定である。
(3) B.I.E. の国際博覧会の一般規則によれば、愛知万博は日本国の経済産業大臣が担当し、政府はその成功及び威信を確保するために必要な法律上、財政上その他の措置を準備し、かつ実施する責務を有するとともに、経済産業大臣は、博覧会政府代表を通じ、博覧会に対する権限を行使し、かつこれを監督するものとされている(4条)。そして、政府は、国際博覧会条約10条に基づき、愛知万博の開催者たる協会の義務の履行を保証する責任を負っている(8条)。
 そこで、政府は、平成7年12月19日の閣議において、厳しい財政事情等にかんがみ、愛知万博開催のための諸経費については、関係各省の既定経費の枠内で捻出するとの原則に則って、会場建設費については建設費総額に占める補助対象事業の割合を3分の2程度とすること、かつこれを国と地力公共団体が同率の割合で負担すること、会場運営費は適正な入場料等によって賄い、国庫による負担、助成を行わないこと、博覧会の開催に関連する公共事業については通常の公共事業費の中で対処し、特別な財政措置は講じないなどの方針を確認している。
 以上の事実によれば、愛知万博の開催主体とされている協会は、その財政及び運営活動の相当部分を国ないし地方公共団体に依拠していることは明らかである。そして、条約上、政府が開催についての総括的履行責任を負っているが協会の財政面に問題が生じた場合には、国の財政事情等から、これによる負担増を地方公共団体が分担することを求められる事態も想定されなくはないから、国民なかんずく開催予定地である愛知県の県民がその財務内容に関して関心を抱くことは無理からぬというべきである。
 したがって、協会は国とは別個の私法人であって、愛知万博は国が実施主体となって開催されるものではないからといって、開示の要件をことさらに厳格に解釈すべきものではないから、以下においては、通常の手法によって情報公開法に定める非開示事由の存否を判断する。
2 本件係争部分1について
 被告は、非開示の理由として、本件係争部分1は、協会の長期借入金の借入予定金融機関の情報であるところ、同情報は協会の経営上の秘密に当たり、協会に対する融資予定金融機関を公開することにより、公表されないという信頼の下に借入れを申し込んできた融資予定銀行と協会の間の信頼関係を損ない、少なくとも借主が融資を受けるための交渉上不利な立場に立たされることは必定であるから、協会による円滑な資金調達が困難になるおそれがあるなどと主張し、それに沿った証拠(乙24、25)も存在する。
 情報公開法が、開示請求に係る行政文書に、法人情報であって「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」(5条2号イ)が記録されている場合はこれを非開示とすることができる旨を規定した趣旨は、法人等が社会構成員としての自由な事業活動が認められていることにかんがみ、その事業活動上の正当な利益を十分尊重、保護し、行政文書が開示されることによって法人等に不利益を与えることを防止しようとしたものであるが、一方で、情報公開法は、「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」を目的とし(1条)、行政文書の開示を原則としている(5条)ことに照らすと、上記の非開示事由としての情報は、主観的に他人に知られたくない情報であるというだけでは足りず、当該情報を開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが客観的に認められる場合を指すと解すべきである(最高裁判所平成13年11月27日第三小法廷判決・平成9年(行ツ)第241号事件)。
 この点、被告は、営業上、経営上又は財務上の秘密に属する情報であれば、当該法人等に具体的にどのような不利益な事態が生ずるおそれがあるかなどをそれ以上論ずるまでもなく、経験則上、正当な利益を害するおそれがあるものとして直ちに情報公開法5条2号イに該当すると主張する。しかしながら、被告主張のような経験則が存在するとは到底考えられず、情報公開法の前記趣旨、目的をも考慮すると、形式的に営業上、経営上又は財務上の秘密に属する情報に当たれば、そのすべてが非公開とされると解するのは相当でなく、当該情報の性質、内容、公にされている情報との関連性、これらを取り巻く具体的情勢などの要素を総合考慮した上、前掲最高裁判決の示す客観的おそれの有無に従い、その充足性を判断するのが相当である。
 そこで、本件係争部分1を公開することにより協会の正当な利益を害する客観的おそれがあるかどうかについて検討するに、証拠(甲3の9、10)及び弁論の全趣旨によれば、問題となっている長期借入れについては、早くとも前売券の販売収入が見込まれる2003年ころまでは運営費に充てられるべき収入がほとんどないという協会の特殊な財源構造等の事情から、短期借入金の借換えでは対応困難であり、長期借入金によって対応することが適当と考えられたことから選択されたものであること、借入金利については、中・長期の基準貸出金利年2.0パーセント(短期プライムレートの1.5パーセントに中・長期の基準レート0.5パーセントを加えたもの)より若干低率である年1.8パーセントをもって各金融機関の了解を得ているが、この利率設定は通常の範囲内のものであること、以上の事実が認められ、これによれば、融資予定金融機関名が公開されたからといって、外部からの詮索や非難を招くことは考え難く、協会との信頼関係が損なわれたり、その資金調達に支障を来すおそれが客観的に存在するとは認められないというべきである。
 このことは、以下の事実によっても裏付けられる。すなわち、証拠(甲4ないし8)によれば、愛知県情報公開条例26条2項の情報提供制度により一般市民が入手可能な協会の第8回理事会・評議員会(平成12年3月21日開催)の配布資料には、同日の理事会・評議員会での議案の資料として「資金(長期借入金)の借入について」と題された書面があり、同書面の内容は本件行政文書(甲3の10)の内容とほぼ同一であって、ここに借入先としてシンジケート団を構成する16行の金融機関名等が記載されていること、同様に入手可能な協会の第14回理事会・評議員会(平成13年6月19日開催)の配布資料の中に協会の平成12年度事業報告及び決算報告についての資料があり、同資料には、協会の「平成12年度決算書(案)」が添付されているが、その「正味財産増減計算書」の長期借入金増加額欄には、20億8300万円という本件行政文書(甲3の10)に記載された借入金額と同額の数字が記載されていること、また、同資料には平成13年3月31日現在の協会の財産目録が添付されているが、そこには長期借入金の債権者である16の銀行の名称及び各銀行からの長期債入金の借入金額が記載されていること、以上の事実が認められ、これらによれば、本件係争部分1に係る情報は、本件本処分時(平成13年5月31日)には既に公になっていた、あるいは公にすることが予定されていた情報であるということができる。したがって、本件係争部分1が公開されたからといって、協会の正当な利益が害されることがないことは明らかである。
 この点につき、被告は、1.上記の各情報は、本件係争部分1とその内容において質的に異なること、2.行政処分の違法性判断の基準時が当該処分時とされていることから、本件処分後の第14回理事会・評議員会にて前記情報が公にされた事実は違法事由にならないなどと主張する。しかしながら、借入交渉に入る前の段階での借入希望金融機関名と、融資実行後の借入金融機関名とが公にされているにもかかわらず、その中間である借入交渉段階での金融機関名だけを秘密にしておく正当な理由があるとは到底考え難い(被告も、内容が質的に異なると主張するのみで、この点についての具体的な主張をするものではない。)。また、行政処分の違法性判断が、当該処分時を基準としてなされるべきことは被告主張のとおりであるが、このことは、いかなる範囲の資料を用いることができるかの問題とは区別されねばならず、裁判所は、民事訴訟の一般原則に従い、口頭弁論終結時までに収集されたすべての資料を斟酌できることは当然であるところ、本件処分前にすでに借入希望金融機関名として、また、本件処分からわずか19日後には融資実行後の借入金融機関名として、それそれ本件係争部分1の金融機関名が公にされているのであるから、特段の事情のない限り、本件処分時においても、秘密にとどめておく正当な利益がなかったと推認するのが相当である(被告の主張に従うと、この19日の間に正当な利益が消滅する劇的な事情の変化があったことになるが、もとより、被告はこのような事実を主張していない。)。そして、被告主張に沿うかのごとき証拠(乙24、25、28、29)は、本件における上記の具体的事実関係に触れることなく、一般的、抽象的な信頼関係毀損等のおそれを述べるものにすぎないので、上記判断を覆すものではあり得ない。
 よって、本件係争部分1に関する被告の前記主張は、いずれの観点からも採用できない。
3 本件係争部分2について
 被告は、本件係争部分2に係る情報は、協会の運営の見通しに係る情報であって、営業上、経営上又は財務上の秘密に属するから、当該法人等に具体的にどのような不利益な事態が生ずるおそれがあるかなどをそれ以上論ずるまでもなく、直ちに情報公開法5条2号イに該当すると主張するが、かかる主張が採用できないことは前述のとおりである。
 次に、被告は、本件係争部分2で問題となっている収支見通しは、基本計画の骨子すら策定されていない段階でのものにすぎず、その後の基本計画骨子を経て、基本計画の策定に至るまでの熱度を次第に高めていく過程で、内容が大きく変わることを予定していたものであるし、実際にも、平成13年10月15日公表の基本計画骨子、同年12月3日公表の基本計画においては、当初の計画と相当なずれを生じているにもかかわらず、これが公開されると、その数値が確定的なものであるかのように一般国民ないし世論が誤解ないし曲解するおそれがある上、このような誤解又は曲解に基づいて違法又は不当な行動をとる者はいないと考えることは人の本性を知らない空論であると主張し、マスメディアによる誤報等の例証として、所沢ダイオキシン報道や松本サリン事件葡道に関する証拠(乙18、19)を援用する。
 確かに、過去において幾度かマスメディアによる誤報事件が発生したことは被告指摘のとおりであるし、将来においても皆無とはいえないであろうが、このようなマスメディアに対する不信感や一般的、抽象的な誤報の可能性を理由に情報を不開示とすることは、結局、あらゆる情報の開示を拒む結果となって情報公開制度それ自体を否定することにもなりかねず、マスメディアが民主主義社会の発展に大きな役割を果たしてきたことをも考慮すると、そのような立論が不当であることはいうまでもない。
 そして、誤報にはそれぞれの原因があり(一般に、十分な情報が与えられない状況においては、不確かな憶測をもって補うことがあり、これによって誤報が発生しやすくなると考えられる。)、当該情報が将来の予測値としての性貿を有する場合に、直ちにこれが確定値として報道される蓋然性があるとは通常考え難いところ、証拠(甲3の11)及び弁論の全趣旨によれば、本件係争部分2に係る収支見通しは、あくまでも平成12年9月18日時点での「暫定値」であり、将来の「見通し」にすぎないことは文書の表示の上から明白であるから、これを公開することによってマスメディアや一般国民等が誤解ないし曲解し、その結果、協会の運営に支障を来す客観的おそれがあるとまでは認められず、被告主張に沿うがごとき証拠(乙26、28、30)によっても、主観的な杞憂以上のおそれを認め難い。なお、証拠(乙6の1ないし6の3)によれば、愛知万博の開催自体やその手法、内容等を巡って賛否いろいろな考えを有する県民が存在する事実が認められ、抽象的には収支見通しに関する情報が協会に対する非難材料として用いられる可能性も否定できないが、それが当初の見通しとしての甘さを非難するものである限り、民主主義社会においては甘受されるべきであって、これに対しては協会による広報をもって対応すべきであり、かつ対応できる事柄と考えられる。
 さらに、被告は、補助金等収入、付帯事業収入等については、試算値にすぎないのに、これを明らかにすると、今後の相手方との交渉等に支障を来すおそれが高い旨主張する。一般論としては、相手方との交渉によって定まる事項については、早期に手の内の詳細を明かすことによる不利益が考えられなくもない。しかしながら、補助金等収入については、駆け引きによるのではなく、目標金額等を示して財務内容を明らかにし、理解を得た上で協力を要請することが通常の形態であると考えられる上、証拠(甲3の11)によると、本件係争部分2に係る上記情報は、年間における合計金額が記載されているにすぎず、どこの資金提供予定者からいくらの資金提供を予定しているか、あるいはマークや協賛広告の使用条件等はいかなるものかなどの詳細が明らかにされているものではないと推認されるので、これらの情報が公開されることによって、相手方との交渉ひいては協会の財務運営に客観的な支障が生じるとは認め難い。
 よって、本件係争部分2に関する被告の前記主張も採用できない。
4 結論
 以上の次第で、本件係争部分1、2については、情報公開法に定める非開示理由が存在するとは認められず、原告の請求は理由があるから、これを認容することとし、訴訟費用につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

 

名古屋地方裁判所民事第9部

裁判長裁判官 加 藤 幸 雄
裁判官 橋 本 都 月
裁判官 富 岡 貴 美

別紙

当 事 者 目 録

名古屋市中区丸の内二丁目18番22号 三博ビル5階

原      告      名古屋市民オンブズマン
同 代 表 者 代 表     佐 久 間 信 司
    同訴訟代理人弁護士      新 海      聡
          同               杉 浦   英  樹
          同               竹 内   浩  史
          同               滝 田   誠  一
          同               西 野   昭  雄
          同               平 井   宏  和

名古屋市中区三の丸二丁目5番2号

被          告      中部経済産業局長
市  川   祐  三
          同指定代理人         浜       秀  樹
          同              畠  山       稔
          同              野  下   智  之
          同              畠  山   和  夫
          同              山  崎   秀  義
          同              岡  本       岳
          同              池  田   信  彦
          同              北  村   政  保
          同              藤  村   弘  成
          同              平  井   敏  文
          同              後  藤      収
          同              敦  井   一  友
          同              竹  尾      学
          同              久 能 木   慶 治
          同              岡  田   邦  雄
          同              後 藤   喜 久 男
          同              壁 谷   勢 津 子
          同              中  井   基  之
          同              増  田      仁
          同              加  藤      淳
          同              豊  島   賢  治
          同              渡  辺   孝  司
          同              甲  斐   聖  也

これは正本である。
平成13年12月13日
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判所書記官 小川真由美