国交省関東整備局の工事入札の問題点
(毎日新聞東京本社版12月3日社会面記事の原資料)

 
国土交通省がホームページの「工事の入札・契約情報―入札結果」で同省のすべての入札調書を掲載している。このうち関東地方整備局の入札調書を精査して、数多くの高落札率・僅少値開きの入札、一位不変の法則など、いくつかの問題点を見いだしたので紹介する。
調査した入札調書データは2001年度の1年間の入札・契約分である。港湾・空港関係のデータ掲載は02年4月からのため含んでいない。(表1参照)
契約タイプ別件数は下記の数字であるが、そのうち1件の予定価格が1億円以上の競争入札である3タイプ、1024件について集計・分析した。工事金額の合計は2千766億円(表5)で、金額ベースのカバー率は約70%と推計される。
一般競争入札
(予定価格が概ね7.5億円以上)
54件
公募型指名競争入札
(  〃        7.5億円〜2億円)
391件
工事希望型指名競争入札
(  〃        2億円〜1億円)
579件
(小計)(1024件)
通常指名競争入札
(  〃        1億円未満)
1603件
随意契約125件
合計2752件
(1)落札率(落札金額÷予定価格)98%以上が約4割、95%以上が約8割(表2参照)
予定価格が入札調書に記載されている948件の入札で見ると、落札金額は予定価格の98%〜100%が407件(43%)、95%〜100%が760件(80%)であり、そのうち随意契約に移行することなく競争入札で落札が決定した812件に限って見ても、98%〜100%が306件(37.7%)、95%〜100%が630件(77.6%)と、予定価格に非常に近い額で落札している。多くの入札で業者が予定価格を事前に入手していることをうかがわせる数字である。
(2)逆転落札はごく稀、「一位不変の法則」がほぼ貫徹
2回以上の入札が行われた工事310件(表2−1参照)について、入札調書で各回の入札金額を点検すると、第1回の入札で2位以下の業者がその後の入札で逆転落札したケースは2件だけで、他の308件では落札業者は第1回から常に1位を維持している。
多くの入札で談合による落札が行われていることを推測させるものである。
(3)業者間の値開き率(最高入札額÷最低入札額)は6%未満が過半数(表3参照)
予定価格が事前に公表されないのに、平均で10社(表4参照)が参加する入札で、最低額と最高額の値開きが6%未満のものが過半数の51%、7%未満が60%を占めている。入札額の幅が狭い範囲に収まるのは、談合の存在をうかがわせるものである。
 
表1 国土交通省関東地方整備局工事入札件数(除く港湾・空港)
表1-1 年度合計に対する各月の比率
表2 落札率の分布
表2-1 入札調書全数の入札回数
表3 値開き率の入札業者別分布
表4 入札業者数の分布
表5 落札金額集計
表5-1 落札額の分布