報償費異議申立で外務省の「理由説明書」に
情報公開審査会へのセンター「意見書」で厳しく反論
2010年7月29日
情報公開市民センター
情報公開市民センターは、外務省報償費不開示取消訴訟の確定判決に従わない、在外公館の「直接接触」支出決裁文書の黒塗り開示に対して、異議申立書(2009年12月17日付)を提出した。(内容に関しては同日付のセンターHP既報を参照)
外務省はセンターの異議申立を情報公開審査会に諮問
外務省はこの異議申立を、情報公開・個人情報保護審査会に諮問したことを、センターに約4か月後の2010年4月16日付で通知し、同審査会に提出した「理由説明書」を送付してきた。
外務省の「理由説明書」の要旨
「理由説明書」は次のような論旨で、センターの主張を失当としている。
@判決において支出決裁文書のうち審理の対象とされたのは、目的・内容、支払い方法、文書作成者名、取扱者名、決裁者名、支払予定先、支払先、支払予定日、支払日、支払予定額、支払額だけである。このうち文書作成者名などはじめの7項目が不開示情報に該当し、その余の記録部分は不開示情報に該当しないとされた。開示すべき「その余の部分」とは支払予定日など4項目だけである。
A市民センターが開示を求めている表題や文書名、書式として印字された欄名等は、裁判において審理の対象となっておらず、これらは単独で裁判の審理対象、すなわち「有意な情報」とはみなされていない。これらの不開示決定は裁判所の判断に反するとはいえない。
B開示文書の一体性や独立性の判断がつくように行政文書を新たに作成・加工する義務はない。
センターは審査会に「意見書」を提出して外務省の主張に反論
この外務省「理由説明書」に対して、センターは同審査会に7月5日付で「意見書」を提出し、次のような論旨で外務省に厳しく反論を行った。
@外務省は、判決の命ずる意味内容の検討を回避して、判旨を曲げて解釈している。敗訴判決の執行を受けているとの認識が欠けている。
A支出決裁文書の不開示の7項目の「記録部分」の不開示が認められているのであり、手書き等で記入されている「記録部分」を不開示とする措置のみが許され、その余の、標題、文書名、欄名などはそのまま開示する義務があり、これらの情報を塗りつぶすことは許されない。
B日付や金額は開示するべきなのであるから、開示される日付や金額の情報と一体として標題や文書名等は開示されるべきである。外務省の言い分だと、標題や文書名等は、文書作成者や目的・内容とセットで開示される場合にだけに開示されるべきということになるが、そのような馬鹿げた解釈は成り立たない。外務省は「間接接触」文書については標題等をそのまま開示しているのに、「直接接触」ではどうして全面黒塗りとなるのか、整合性がない。
Cセンターは新たな行政文書の作成などを要求していない。判決の命令に従った開示がなされれば、どのような文書であるかの判別はつくので、新たな行政文書の必要などは起こることもない。
(担当:鈴木)