2000年3月9日版
第4回全国(都道府県・政令指定都市) 情報公開度ランキング |
目次 |
はじめに 99年度の都道府県等情報公開度全国調査を、99年11月に実施しました。第4回目となります。 今回は、調査事項が従前と大きく変わりました。これまで継続してきた「食糧費」「出張旅費」の調査を打ち切り、@首長交際費、A議長交際費、B土地開発公社の土地保有情報、C警察本部の所轄事業である信号機の設置工事費、の4事項としました。なお、食糧費、出張旅費については、前年度で著しく開示度が低かった10県だけを対象にして、継続調査を行ないました。 このように調査事項が大きく変わりました。そのことの影響と考えられるのですが、ランキング上位(ベスト10)では、昨年躍進した自治体の幾つかが、今年は急降下するという現象が認められました。付け焼き刃の受験生は、試験科目が変わるとついて行けないことがあると聞きます。その一方、これまでの最上位クラスを占めてきた宮城、北海道、三重の上位は揺るぎませんでした。そして、上位グループと最下位グループとの較差がますます拡大して行きます。また、知事が変わった愛知県の最下位からの躍進などが目に付きました。 なお、今年は、公表の前に、私たちの調査結果を各都道府県にFAX送信し、事実の確認を行ない、調査の正確を期しました。これに対しては、各自治体から、真摯で熱心な指摘やご意見を頂戴しました。ありがとうございました。 |
目次 |
T 調査日、調査方法、および調査事項のあらまし | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
目次 |
U 調査結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
目次 |
V 都道府県担当者からさまざまなご意見・要望 |
昨年、福島県について集計上のミスを犯したことを反省、また、自治体側から意見を寄せてもらうのもよいのではと考え、今回からは、素点の採点が終ったところで、採点表を都道府県にFAX送付することとしました。「誤りがあれば指摘を、ご意見があればお寄せください」というお願いです。これに対しては、予想を超えて各地から応答をいただきました。FAXで6府県から、電話は7県から。 自治体側からの指摘は、およそ三つありました。請求の対象期間中に、当該の支出事例がなかったことから資料の入手が得られず「資料なし」として判断していた事柄について、「当県は、かくかくの事柄については公開している」との指摘。少し変わったものとしては、「当県は、議長交際費は開示していない。減点になるが訂正をしてほしい」という正直な?ご指摘もありました。ついで、請求人側と自治体側とで請求資料内容の受け取り方に違いがあって、「資料を××と特定してくれれば、公開できた」との指摘。そして、今回、多くあったのが、開示された土地開発公社の「保有土地一覧表」についての評価でした。 たとえば、「土地取得依頼書と公社保有土地一覧表を、請求人の請求に従って全部公開したのに、満点でないのはなぜか」とのクレーム。同種のものとして、「地番の記載のない公社保有一覧表を公開したところ、その部分の評点が0点となっている。地番の記載のない資料しか存在せず、これを全部公開したのだから、情報公開制度としては、減点はおかしい」という抗議もありました。確かに、公開の窓口としては、「手持ちの資料を、請求に従って開示する」という以上には対応できないことは理解できます。しかし、私たちは、住民にとってほとんど値打ちのない情報を与えられても、それを評価するわけにはいかない。住民が欲しい資料を自治体側では容易に作れるからです。そして、それを備え置くことが行政にとっても必要なはずで、そうした資料を作成しておいて欲しいと要求することは、けっして過大な要求ではないと考えるのです。 こうした窓口や担当課とのやり取りの中で、自治体側の担当者の真摯な対応も認められました。倉庫を3日も探してくれたとの報告や、「そういう資料なら」と、わざわざ、地元市民オンブズマンに届けてくれた担当者もありました。FAXで丁寧なご指摘もいただきました。 こうした努力に感謝致します。これらの経緯を経て、市民オンブズマン側で見過ごしていた点については修正し、自治体側との見解の相違による場合には、十分に説明をさせていただいて、ご了解を願ったつもりです。 ともかく、いくつかの自治体の担当者の熱意には、ここで改めて敬意と感謝を表させていただきます。 |
目次 |
W 最下位グループ県知事を考える―官僚出身・長期政権・与野党相乗り |
この採点結果だけが情報の公開状況のすべてを語るものでないことは言うまでもないのですが、最下位グループ5県の得点は、100点換算で20点未満です。上位4県に比べれば、4分の1から3分の1の得点です。富山県の得点(100点換算で13点)は、宮城県のそれ(同80点)の6分の1です(昨年の1位と最下位の較差は、3対1でした)。 最下位グループでは、首長・議長交際費の相手方の氏名をまったく開示しない、土地開発公社の「保有土地一覧表」の公開では、住民に提供される情報は最低レベル、警察情報も知事部局からはいっさい出ない。コピー代も高め。どれ一つとっても、情報の開示に積極的と評価できる指標が出てきません。 愛知県の例をみると、知事の決断次第で自治体の情報公開が即刻すすむということが、よくわかります。宮城、三重、高知などでは、公開へ向けての知事のリーダーシップが、よく指摘されます。そこで、最下位グループ5県の知事の政権環境を見てみましょう。 行政がよどみ、住民の利益がないがしろにされる政治の条件として、@知事は官僚出身、Aその下での長期政権、B選挙体制は与野党相乗り、という3条件が指摘されます。このような条件の下では対抗する政治勢力は弱体化、知事は殿様となり、たまに聞こえる庁外からの批判は雑音としか聞こえなくなり、住民の声は届かず改革は止まる、となるのでしょう。この3条件で、最下位グループをチェックすると、やはり、ピッタリでした。山梨県をのぞけば、4期、5期、6期という超長期政権、出身は自治省、林野庁という立派な経歴、選挙は与野党相乗りで共産党をのぞき議会挙げて総与党。山梨県知事は、経歴こそ町長ということですが、任期3期目、与野党相乗りという条件は同じでした。 こういう体制では、議会の大勢は行政からの利益配分のおこぼれに与るのに忙しく、行政の透明化や利権排除には、むしろ敵対的ですらあります。これでは、行政監視のシステムである情報公開がすすむはずはありません。 市民オンブズマン福井からは、知事交際費の公開を広げるとの昨年の知事発言を楽しみにしていたが、「やっぱり、リップサービスでした」とため息交じりの報告を寄せてきました。みやざき・市民オンブズマンからは、「知事の情報公開への認識。まったくなし」と絶望的な回答です。 この項を、「日本一になった富山」からの、市民オンブズマンの報告で締めくくることにしましょう。 [富山発] 当県の知事は、情報公開制度について、こんな程度の理解しかしていません。ある情報公開請求訴訟で、県はとんでもないことを言っているのです。 「情報公開制度は、……主体的な県政の参加者として個々の施策の決定や実施に関与する意思と能力を高め、より多くの県民が自由闊達に県政に参加することを推進するための方法の一つ」、と言いながら、「県政への県民参加をより充実したものとするために、情報公開の総合的な推進をはかるためのものであり、その結果として、県民による県政に対する監視がより容易になることがあるとしても、それはあくまで結果であって、目的ではないのである」と言うんです。 「住民には、情報公開制度の結果的なおこぼれを与える」というんですよ。うちの知事さんは。 うちの知事さんは、なんでも日本一を目指す人ですが、情報公開に消極的なのは、長引いた任期の中で不正・腐敗がたまり、これが明らかになるのをおそれているからではないかと、地元では言われています。それにしても、こんなことで日本一になるとはね。 |
目次 |
X 政令指定都市など | ||||||||
今回は12政令市のほか、地元の市民オンブズ(マン)グループが自主的に行った16の市に対する情報公開請求の結果についても評価しました。これらの都市について簡単に触れることとします。 | ||||||||
|
目次 |